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2019年12月30日

日産 EV充電の不満解消に向けた取り組み カーナビに満空情報を表示

日産自動車は、電気自動車(EV)ユーザーに自宅充電を促す取り組みを進めている。国内のEV用公共充電設備は全国で3万基とインフラ網は拡充しているものの、都市部など利用者が集中する場所では充電待ちが発生している。

日産ではこうした状況を踏まえ、従来の〝充電し放題〟の充電プログラムを改定。出先での不要不急の充電を減らし、自宅での充電を基本とするプランを追加した。充電スポットの満空状態情報をカーナビで提供するなど、充電インフラを効率的に活用できる仕組みも導入し、EV普及のネックとなる充電待ちの解消につなげる狙い。

日産は2010年12月に初代「リーフ」を投入して以来、国内における累計販売台数は13万台超とEV販売をけん引している。リーフには全車に専用の通信モジュールを搭載し、データセンターで走行履歴や充電情報などの収集・分析を行っている。

ゼンリンの調べによると、EV用充電スポットは9月末時点で全国に3万300基で、その内、急速充電は7800基。一般的なガソリン車よりも航続距離が短いEVの弱点を補うインフラ網が整いつつある。

こうした中、日産は公共の急速充電スポットによる経路充電の利用を促すため、充電サポートプログラム「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム(ZESP)」に「使いホーダイ」プランを設定。これによりEVの普及と利用を後押ししてきた。

一方、このプランにより自宅に充電器がありながら公共の急速充電器を利用するユーザーが増加していることが、リーフから収集したデータによって判明した。目的地までの移動に必要なバッテリー残量がありながら、出先で満充電にするケースも見られ、これによる充電待ちが発生することもわかった。

12月に改定したプログラムでは、従来の充電し放題プランを廃止し、従量課金制と無料充電回数をパッケージ化したプランを設定。ユーザーの利用形態に合わせてプランを選べる内容に変更した。充電器の満空情報の提供と組み合わせ、急速充電器利用者の過度な集中を軽減させる狙いだ。

EVは自宅や職場、目的地で充電ができる一方、出先での充電は給油よりも時間を要するため、ガソリン車とは異なる使用方法が求められる。日産は、走行経路での充電に関しEVユーザーと充電器を備えた小売店を引き合わせる実証実験を行うなど、EVのネガである充電の待ち時間をサービスに変える新たなビジネススキームも模索している。今後もEVの使用情報の収集・分析によって充電インフラの利用を最適化し、EV普及を後押しする考え。

日刊自動車新聞12月27日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日産自動車(株)

対象者 一般,自動車業界