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2019年12月27日

つながる機能で輸送効率化 大型車メーカー、荷役作業の軽減

大型車メーカーが「つながる機能」を活用して輸送効率化を図る動きが加速している。日野自動車は荷室内にセンサーとカメラを設置して荷物を見える化し、通信機能によって積載内容を最適化して輸送効率を引き上げる取り組みをスタート。いすゞ自動車も積荷情報を通信端末で把握する実証実験を行っている。物流業界ではドライバーの人手不足が問題となっており、将来的な自動運転技術の実現が期待される。大型車メーカーは自動運転技術の開発と並行し、標準装備化が進む既存のコネクテッド機能を活用した輸送効率化やドライバーの荷役作業軽減を図り、足元の課題解決に取り組む考え。

日野子会社のネクスト・ロジスティクス・ジャパンは、荷主企業や輸送会社と共同で幹線輸送を開始し、東名阪の輸送効率化と省人化に取り組んでいる。日野が提供する車両にはITC(情報通信技術)サービスの「ヒノコネクト」に加えて荷室内の状況を管理できる通信サービスを提供する。これにより形状や重さが異なる荷物を効率よく積載し、ドライバーの荷役作業の軽減にもつなげる。また、ドライバーは生体センサーを備えたウェアラブル端末を装着し、体調管理や長時間労働の抑制、睡眠改善プログラムにも役立てる。

いすゞも、架装部分のITCサービス提供を模索している。電波でタグのデータを読み取る「RFID」を活用し、積荷情報を自動的に取得して車載通信機を介して荷主企業などと荷室内のデータを共有化。RFIDによって伝票を自動作成するなどドライバーの作業負担軽減を目指す。

物流業界の抱える課題解決に向けて、各大型車メーカーは自動運転技術の開発に着手している。6月からは高速道路における後続車無人のトラック隊列走行の公道実証も始まり、政府は早ければ2022年の商業化を目指すが「まだまだ課題が多い」(大型車メーカー幹部)との声もある。メーカー各社は、次世代技術の中でも大型車ですでに普及段階にあるコネクテッド技術を活用し、荷主企業と運送事業者が一体となって物流改革を目指す。

日刊自動車新聞12月24日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞

対象者 自動車業界