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自動車産業インフォメーション

2019年12月26日

自賠責 安全特会への繰り戻し、40.3億円に増額

自動車安全特別会計から国の一般会計に繰り入れられたままになっている自賠責保険の運用益について、2020年度に40億3千万円が同特会に繰り戻されることが決まった。

繰り戻しは15年ぶりに実現した18年度から3年連続となる。ただ、いまだ約6千億円が未返済の状況で、積立金を取り崩して交通事故被害者の救済事業に充てている。安定して事業を行うためにも、国土交通省は引き続き、財務省に対して繰り戻し額の増額を求める。

17年の麻生太郎財務相と石井啓一国交相(当時)間の合意では、繰り戻し額について、交通事故被害者の救済事業が安定的に実施されるよう協議の上で決めるとした。

18年度は23億円、19年度はその約1・6倍の37億円の繰り戻しが実現し、20年度は前年度から増額されることが決まった。着実な繰り戻しが進む一方、19~22年度までとする返済期限に対して返済額が小さいとの声も挙がる。

自動車ユーザーが支払った自賠責保険の運用益は、交通事故被害者を保護する医療施設の設置や自動車事故対策事業などの原資として自動車安全特別会計に計上されている。

赤字国債の発行を抑えるために1994、95年度に同特会から一般会計に1兆1200億円が繰り入れられた。2003年度までに約7千億円が財務省から返済されたが、それから18年度再開までの期間、景気悪化や財政難などを理由に繰り戻しが滞っていた。

事故被害者の救済事業を維持するため、同特会の積立金の取り崩しが毎年発生し、その残高も減少している。被害者保護などに使う自動車事故対策勘定の積立残高は1650億円(19年度末見込み)。

事故対策と被害者救済の施策の実施するための19年度予算は143億円で、最近は約80億円を取り崩しながら運用している。国交省は今後も全額返済に向けて財務省と協議を続けていく方針だ。

日刊自動車新聞12月23日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

財務省

対象者 大学・専門学校,一般,自動車業界

自賠責考える会、自賠責繰り戻し評価

国の一般会計から自動車安全特別会計へ40億3千万円繰り戻されることが決まったことを受け、繰り戻しの実現に取り組んできた自動車損害賠償保障制度を考える会(座長=福田弥夫・日本大学危機管理学部長)は20日、「継続的な繰り戻しと繰り戻し額の増額を求めてきた我々の要望に沿う結果として評価したい」とのコメントを発表した。
 合わせて、2020年度予算案で療護施設の拡充が認められるなど、交通事故被害者の救済事業の拡充が決定したことも評価した。
 同会は交通事故の被害者関連団体や日本自動車会議所、日本自動車連盟などの代表者らが名を連ねている。11月22日には赤羽一嘉国土交通相と省内で面会し、要望書を手交した。

 コメントでは「6千億円を超える繰入金が国土交通大臣と財務大臣の合意通り早期に返済されることを強く求めていく」とするとともに、介護者の高齢化により介護の継続が困難な状況があることを踏まえ「交通事故被害者への支援対策事業の充実について注意深く見守り、今後とも必要に応じて提言を行う」とした。