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2019年12月26日

日刊自連載「平成から令和へ 2019自動車業界振り返り」(1)自動車メーカーの合従連衡

ルノー・日産・三菱自連合はゴーン氏に続いた 西川体制が短命に終わり、足踏みの1年となった

2019年の自動車業界は、電動化や自動化などの技術や新たなモビリティサービス対応に向けて、競争力を高めるための合従連衡が世界的に加速した。

フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とグループPSAが経営統合に合意し、いすゞ自動車はスウェーデンのボルボとの提携を決めた。トヨタ自動車はスズキやスバルと資本関係を深め、協業による相乗効果を追求。一方、仏ルノーと日産自動車の企業連合では、資本と規模の〝ねじれた関係〟が主導権争いという新たな軋轢を生み、アライアンスが万能でないことも浮き彫りとなった。

トヨタ自動車は、この1年でCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)対応に向けた提携の輪を広げ、かつ深めてきた。16年に業務提携への協議をスタートしたスズキとは19年8月に資本提携を発表し、相互出資に合意した。翌9月にはスバルへの出資比率を引き上げるとともにスバルもトヨタへ出資を決めた。トヨタはこれにより、子会社のダイハツ工業と日野自動車、資本提携を結ぶマツダも合わせ国内自動車メーカーの半数を占める6社で陣営を張ることになる。

トヨタの「仲間づくり」は、モビリティサービスの領域においてさらに広がりを見せる。ソフトバンクとの共同出資会社で、今年からモビリティサービス事業を本格的に開始したモネ・テクノロジーズにはホンダやいすゞも加わり、日産と三菱自動車、外資系の大型2社を除く各国内自動車メーカーが合流した。さらにモネのコンソーシアム(企業連合)には多くの企業や自治体などが参画し、ビジネスモデル構築に向けた取り組みを進めている。

国境を越えた自動車メーカーの再編も目立った。フォルクスワーゲンとトヨタ、ルノー・日産・三菱自連合の「1千万台クラブ」に割って入り、新たにビッグプレーヤーに加わろうと動いたのがFCAだ。5月にはルノーへ経営統合を提案し、日産と三菱自を合わせた世界トップの連合実現を目指したが、ルノー大株主の仏政府の介入によって交渉は決裂。そのわずか4カ月後、グループPSAがFCAとの経営統合を決め、12月に正式合意に至った。1千万台には届かないが、世界販売4位となる約870万台の規模で次世代技術開発の効率化を図る。

18年にトヨタと資本提携を解消したいすゞも、懸案だった新たなパートナーを決めた。自動化や電動化で先行するボルボとの協業で先進技術力の向上を狙うが、まずはボルボ子会社のUDトラックスを引き受けることで、車種の共有化やアフターサービスの協力などで相乗効果を引き 世界規模での業界再編が進む一方、企業提携の歴史の中で成功事例とされてきたルノー・日産・三菱自連合では不協和音が響いた。3社連合を束ねてきたカルロス・ゴーン前会長が逮捕された後、ルノーが日産を統合しようとする動きが表面化。両社の主導権争いは過熱する一方で、足元では業績悪化が進み厳しい経営環境が続いた。ゴーン氏の逮捕から1年、内田誠新CEOが12月に着任し、20年は事業再生に向けた新体制が本格的に始動する。

平成から令和に代わった2019年も残すところわずか。自動車業界の動きを振り返る。出す考え。

日刊自動車新聞12月23日掲載

 

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