2019年12月24日
自工会会長、来年の世界市場 「楽観はできず」
日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は19日、都内で記者会見し、2020年の世界市場の見通しについて「アジアや中国は決して順調とは言えない」との足元の現状を踏まえて「楽観視していない」との認識を述べた。
国内では、東京オリンピック/パラリンピック前の自動運転車実証実験や道路交通法改正による公道での「レベル3」解禁に対して「自動運転があれば『すべて解決する』と言うのはまずい。誰よりも先にやったと言うこともよりも、事故をゼロにするという目的をぶれない軸でやっていく」と慎重な姿勢を示した。
豊田会長は度重なる自然災害や高齢ドライバーの交通事故を受けて「20年は平穏無事な年になってほしい」と述べた。その上で来年夏のオリンピックを「流れを変えるチャンスに自動車業界としてもっていきたい」と話し、自動運転車などの技術を世界に発信していく場としていく考えだ。世界市場の見通しの不透明感から来年の〝予報〟として曇りと答えたが、今年は「曇りのち雨だ」と話した。
19年の振り返りでは、130万人を集客した東京モーターショーについて「100万人という来場目標には自信も確信もなかったが、モーターショーを本気で変えようという思いが届き、行ってみようという気持ちになってもらえた」と目標超えの要因を述べた。
また、全国を襲った自然災害では、電動車の給電機能が被災時に活用できる点が注目されたが「電動車のさらなる普及、給電機能の装着率向上もあるが、まずは機能を理解し伝えていかないといけない」と給電機能の認知向上活動に意欲を見せた。
フィアットクライスラーオートモビルズ(FCA)とグループPSAの合併や、いすゞ自動車とボルボの業務提携といった業界再編については「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)がらみでは、従来の規模と資本の論理とは違うアライアンスになるのではないか」との認識を示し、とくにIT(情報技術)企業との協業については「今はどこと仕事をしたいか双方に選びあっている状態。選ばれるためにはメーカーも努力が必要」と述べた。
自動車関係税制の見直しについては「モノ造りを守っていくためにも、さらに力を入れていきたい」と語気を強めた。消費増税時に自動車税恒久減税や自動車取得税廃止が実現したものの「まだまだアメリカの30倍のレベル」と強調し、CASE時代には「所有だけでなく利用や活用とクルマの存在幅が広がり、税制も抜本的な見直しが必要」との考えを示した。
日刊自動車新聞12月20日掲載
開催日 | 2019年12月19日 |
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カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
主催者 | 日本自動車工業会 |
対象者 | 自動車業界 |