2019年12月20日
完成検査にAIを活用へ 政府が実証実験を実施へ
政府は、人工知能(AI)を使って自動車の完成検査工程を合理化する技術の実証実験を今年度から始める方針だ。経済産業省や国土交通省など関係省庁が連携し、自動車メーカーとの実証を通じて技術開発を行う。
政府は、完成検査員に代わってAIが車の性能を検査することを認める方向で検討を進めており、どの作業を無人化するかということや自動化した際の保安基準の適合性担保の仕方を探る。実証を踏まえ、将来的には、関係省令の改正も視野に入れる。
政府は、13日に閣議決定した2019年度補正予算案で、モビリティや建築、金融分野などでデジタル技術を導入するための研究開発や規制のあり方の検討に28億円を計上した。予算案は来年1月の次期通常国会に提出され、2月末までに承認される見通し。このうち、モビリティの分野では「AIを用いた自動車完成検査に係る技術開発」と「自動運転車の安全性評価に係るシステムの開発等」を盛り込んだ。
この2つのテーマについては、今年10月に開いた未来投資会議(議長=安倍晋三首相)で議論され、同会議に連なる形で内閣官房小委員会が設置されることも決まった。今後経産省や国交省など関係省庁が連携して必要な仕組みづくりやモデル構築に取り組む。
今年度から、AIを使った完成検査技術の実証実験を行う。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が自動車メーカーなどを対象に参加主体を公募し、実証に移る。実証期間は今年度スタートから14カ月程度を想定する。AIやカメラなどの技術を工場に取り入れて常時監視する技術などを試すと見られる。
現在、完成検査はメーカーの完成検査員が国に代わり、安全性能を最終確認している。ただ、17年以降自動車メーカーによる相次ぐ不適切事案が発覚。人手不足などが背景にあったことから、メーカー側の負担を軽減するためにも先進技術を活用した合理化が必要となっている。政府としては実証を通じ、どの作業が人に代わりAIで無人化できるかを検討するとともに、必要な規制緩和も図る考えだ。
日刊自動車新聞12月17日掲載
開催日 | 2019年12月13日 |
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カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
主催者 | 政府 |
対象者 | 自動車業界 |