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2019年12月13日

日刊自連載「車新世界」(4)車載電池

世界的な環境規制の厳格化に備え、自動車メーカーが推進する電動化。各社が掲げる将来目標を実現するためのキーコンポーネントであり、死活問題に直結しかねないのが車載電池だ。自動車・電池各社は積極果敢な提携や設備投資を敢行し、電気自動車(EV)の本格普及期に備える。

車載電池を巡る提携や長期的な供給契約の発表が相次ぐ背景の一つは、車載電池の将来的な供給力不足に対する自動車各社の懸念だ。大容量の電池を搭載するEVの生産を拡大するには電池の調達がボトルネックになるおそれがある。

例えばトヨタ自動車の場合、2025年に電動車の販売を550万台以上に引き上げる計画(うち100万台はEV、燃料電池車)だが、その場合に必要な電池容量は18年比で約20倍に拡大する。電池各社も生産能力の拡大を急いでいるものの、トヨタと競合する完成車各社も同様に電動化を進めており、全てを賄いきれない可能性は少なくない。寺師茂樹副社長は「各地域で多くの電池を短い時間で準備しなければいけない」と、メインサプライヤーのパナソニックに加え、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)、比亜迪(BYD)など5社を調達先に加えた理由を説明する。

特に電池各社との距離を急速に詰めているのが欧州勢だ。フォルクスワーゲン、ダイムラーはそれぞれ長期的な調達枠を大々的に公表し、電池メーカーとの交渉を加速。BMWも11月にCATLとサムスンの2社と総額100億ユーロの調達契約を締結したと発表した。
厳しい環境規制に対応するためには電動車の生産拡大が不可欠となる。電池の調達網構築が自動車メーカーの将来を大きく左右しそうだ。

日刊自動車新聞12月10位掲載

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