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2019年12月10日

日刊自連載「自動車公取協 運転支援・自動運転機能の表示に関する調査から」(下)負担増す販売現場 商談時の説明時間が長期化

先進安全技術の普及によって、多くの新車ディーラーで商談時の説明などに苦慮していることが明らかになった。

自動車公正取引協議会(神子柴寿昭会長)がメーカー系新車ディーラーを対象に行ったアンケート調査によると、6割が販売員に必要な知識を身に付けるのに苦労していると回答。商談時に運転支援機能の説明に掛ける時間も、2018年3月の前回調査と比べて長時間化する傾向となるなど、販売現場の負担が増している実態が明らかになった。

アンケート調査は、会員のメーカー系新車ディーラーを対象に実施し、新車販売部門責任者・担当者ら446人から回答を得た。「商談時に運転支援機能の説明をしていますか」との問いには、97・5%が「必ずしている」と回答。「説明していない」は0%で、販売現場での説明は徹底されている。

こうした中、「商談時の説明で苦慮していること」について複数の選択肢から選んでもらったところ、「メーカーのテレビCMの影響などで消費者が機能を過大評価している」を選択した人は61・0%に上り、前回調査と比べて1・2㌽増えた。一部のメーカーのCMでは、実際の機能よりも誇張して消費者に伝わり、正しい情報が届いていないと販売現場でとらえている様子がうかがえる。

さらに、オプションの有無やグレードなどによって装備される機能が変わるため、「車種・モデルによって機能が異なり、販売員が知識を得るのに苦労している」を選んだ人は57・2%と半数を超えた。この項目も選択率が前回調査より2・7㌽上昇し、運転支援機能の拡充や高度化への対応が販売現場の重要な課題の一つとなっていることがわかる。

また、商談時に運転支援機能の説明に要する時間は、15分以内が全体の40・4%と前回調査と比べて3・9㌽減少した。一方で、30分以内が前回調査比1・2㌽増の42・4%、1時間以内が同2・0%増の12・8%、2時間以内が同2・1%増の3・8%とそれぞれ上昇。機能の高度化、複雑化が商談の長時間化の大きな要因となっている。

説明後、消費者に正しく理解してもらえたかとの質問では、「きちんと理解してもらえている」と「おおむね理解してもらえている」が合わせて74・9%だったものの、「理解してもらえていない所がある」「あまり理解してもらえていない」も合わせて25・1%に上った。十分な理解を得られずに商談を終えているケースがあることも判明し、販売現場からは説明スキル、知識の習得機会だけでなく、動画などを駆使した解説ツールの導入を求める声も少なくない。

自動運転機能への対応についても調査した。一定の条件下でドライバーに代わってシステムが操作を行う自動運転「レベル3」の呼称で適切だと思う表現を選択式で質問したところ、「条件付自動運転」を選んだ割合が43・9%と最も多く、選択率が49・3%に上った消費者対象のアンケート調査と同様の結果となった。

日刊自動車新聞12月6日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

自動車公正取引協議会

対象者 自動車業界