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2019年12月10日

日刊自連載「車新世界」(3)モビリティサービス

ユーザーのクルマに対する価値観の変化は、自動車業界に100年に1度の大変革期を引き起こす一因となっている。「所有」から「使用」へユーザーニーズがシフトするのに比例して、MaaS(サービスとしてのモビリティ)が台頭してきた。

クルマを買うのではなく、必要な時だけ使うユーザーが増えれば、従来型の保有を前提としたビジネスモデルでは生き残りが難しくなる。新たなビジネスチャンスとして異業種からの新規参入も増える中、次代の主導権争いが激化していくのは間違いなさそうだ。

最短10分程度から気軽に使えるカーシェアリングは、MaaSの代表格の一つに急成長している。交通エコロジー・モビリティ財団の2018年3月の調査によると、カーシェア会員は132万人(前年比22%増)。異業種に加え、最近ではカーシェアと競合してきた勢力の参入も相次ぐ。

特徴的なのが、自動車メーカーが本腰を入れ始めたことだ。トヨタ自動車は今秋、「トヨタシェア」の全国展開に乗り出した。ディーラー単位でカーシェア事業に取り組む例も目立ち始めた。メーカーやディーラーにとって保有が減るカーシェアは本来、相反する関係のはず。それでも一手を打つ背景には、急速に拡大するMaaS市場への危機感がある。

こうした危機感は業界全体に広がっており、これが合従連衡にもつながっている。SOMPOホールディングスは今年、ディー・エヌ・エーと個人間カーシェアの合弁会社を設立。次いで、駐車場シェア大手のakippa(アキッパ)を傘下に入れた。新時代に対応できるサービスを提供していけば、自ら業種の枠を超えた成長ビジョンが描ける。今後も、さまざまな企業間でシナジー(相乗効果)を高めあう連携強化が加速していきそうだ。

日刊自動車新聞12月6日掲載

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