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2019年12月9日

日刊自連載「自動車公取協 運転支援・自動運転機能の表示に関する調査から」〈上〉機能を過信する可能性高まる

運転支援機能や自動運転機能について、使用される用語によって消費者が能力を過信する可能性が高まる事が浮き彫りとなった。

自動車公正取引協議会(神子柴寿昭会長)が消費者と新車ディーラーを対象に実施した「運転支援・自動運転機能の表示等に関する調査」によると、同協議会が使用を禁止している「自動ブレーキ」の表現を使った場合、6割の人が機能を過信・誤認する事が分かった。一方、「衝突被害軽減ブレーキ(被害軽減ブレーキ)」を使うと、過信・誤認が4割にとどまり、より正しい理解を促す効果がある事が証明された。

同協議会は今年1月、先進安全技術への過信や誤認を防ぐため、自動車公正競争規約に基づくガイドラインを改訂し「自動ブレーキ」や「自動運転」などの広告表現を禁止した。今回の調査で行った消費者向けのウェブアンケートは、使用禁止から8カ月経過後の9月2~6日に実施。全国の男女600人が回答し、機能の理解度に用語が与える影響を探った。

「自動ブレーキはどのような状況で作動するか」との問い(選択式)には、2割に迫る18・5%が「あらゆる状況において作動するので運転者は操作する必要がない」を選択。「必要に応じて運転者が操作する必要がある」の38・8%を合わせた57・3%が過信・誤認した。

「衝突被害軽減ブレーキ」で同様の質問した場合は、「あらゆる状況において作動するので運転者が操作する必要がない」としたのは11・2%にとどまるなど「自動ブレーキ」よりも改善。「必要に応じて運転者が操作する必要がある」を含めた割合は44・0%だった。

用語によって機能性の理解度が大きく変わる事が分かった一方、課題も浮き彫りとなった。「衝突被害軽減ブレーキ」という用語を知っている人の割合は64・7%で、同協議会が使用を禁止した「自動ブレーキ」の88・0%と比べて20㌽以上低い。同調査の一環で男女12人に行ったグループインタビューでは、全員が「衝突被害軽減ブレーキ」を知らないと回答。禁止前にテレビCMなどで「自動ブレーキ」の表現が急速に広まった影響が根強く残っている。

このほか「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」の機能を選択制で質問したところ、55・8%が正しく理解し、18年1月に行った前回調査の43・2%と比べて12・6%向上した。踏み間違いが原因の重大事故が社会問題化したことで、改善策としてユーザーの認知度が高まった。

アンケートでは、自動運転機能の呼称についても、消費者の認識を調べた。「自動運転」との表示を使用するのに適切なレベルについての質問では、37・1%が「レベル4」から、28・6%が「レベル5」からと回答した。現在、国土交通省が検討を進めている「レベル3」の呼称について選択式で質問したところ49・3%が「条件付自動運転」を選択した。同協議会では「実際の性能、機能とユーザーの認識がかい離しない用語や呼称が必要」とし、今回の調査を広告表現の検討に生かしていく考えだ。

日刊自動車新聞12月5日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

自動車公正取引協議会

対象者 一般,自動車業界