2019年12月3日
次世代電池の世界市場、全固体電池が急成長 35年に18年比で1千倍超
自動車や電力貯蔵システムに応用が期待されている全固体電池市場は、2035年頃に急成長が見込まれる。富士経済(清口正夫社長、東京都中央区)が発表した「2019電池関連市場実態総調査〈次世代電池編〉」は全固体電池の世界市場が35年に2兆6772億円に成長するとした。
18年の24億円と比べて、市場規模は1115・5倍になる。ポストリチウム二次電池は、リチウムやコバルトといったレアメタルの資源リスクの高まりから開発機運が高まっており、35年には268億円の市場規模になると予測している。
現状は海外メーカーのみが高分子系全固体電池を量産しており、電動車向けに製造している。バルク型全固体電池は実用化までの技術ハードルが高く、バルク型疑似固体電池の製品化が進んでおり、海外メーカーが積極的に取り組んでいる。バルク型全固体電池は30年代に電動車向けの実用化が予想される。硫化水素の発生がないことや設備投資額が少ないことなどがメリットだが、実用化の時期は硫化物系全固体電池に比べ遅れる見通し。薄膜型は13年頃から製品化が進められており、ウェアラブル機器やICカード、医療用途で一部展開されている。積層型は回路基板上に実装できることを強みに、従来一次電池や電気二重層キャパシタが用いられていたアプリケーションで代替が一部展開されている。
今後は薄膜型、積層型ともに量産化が進むとみられる。特に積層型は積層セラミックコンデンサーやインダクターの生産設備を転用できるため比較的少額の設備投資での量産化が可能で、受動部品メーカーによる市場参入が活発化している。
日本メーカーが注力している硫化物系全固体電池は電動車向けに量産・低コスト化を目指しており、20年代前半に電動車への搭載が見込まれている。電動車以外の用途では21年頃からセンサー向けなど小型の硫化物系全固体電池のサンプル出荷が予想されている。
全固体電池は、有機溶媒系電解液とセパレーターを固体電解質に代替した二次電池。酸化物系は1960年代から、硫化物系は80年代から開発が開始されたが、固体電解質は電解液に比べてイオン伝導性が低いことや電極層と電解質層の界面形成に課題が多く、技術開発に時間がかかった。2000年代以降、電解液並みのイオン伝導性を持つ硫化物系固体電解質LGPSの発見などで、全固体電池のブレイクスルーが起こり、注目度が高まっている。
日刊自動車新聞11月29日掲載
開催日 | 2019年10月28日 |
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カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
主催者 | ㈱富士経済 |
開催地 | 世界 |
対象者 | 自動車業界 |
リンクサイト | ニュースリリース https://www.fuji-keizai.co.jp/file.html?dir=press&file=19090.pdf&nocache |