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2019年11月29日

国交省 積雪時に磁気マーカー有用/自動運転実証課題と成果 悪天候、運行制限も

国土交通省は、同省が全国の公道などで実施している自動運転の実証実験を通じた車両技術やインフラ面の成果と課題をまとめ公表した。

積雪時には、路面に設置した磁気マーカーや電磁誘導線を伝い円滑に自動走行できることを確認し、設置基準や制度などを整備する。車載センサーが降雪や濃霧を障害物として誤検知してしまうことから、自動車・部品メーカーによるセンサー性能向上の技術開発の必要性や悪天候時には運行しないことも検討する。

国交省は22日に第6回「自動運転戦略本部」(本部長=赤羽一嘉国交相)を省内で開催した=写真。赤羽国交相や副大臣、各局長などが出席し、省を挙げて実施している自動運転の実証の進捗や成果・課題を報告した。

これまで、2017年以降、中山間地域でのゴルフカートを使ったラストマイル自動運転や高速道路でのトラック隊列走行などを通じて、実際の道路環境下で車を走らせたときの無人移動サービスの有効性や課題などが見えてきた。

中山間地域は、GPSの情報が入りづらいところや雪深い場所があることから、福井県永平寺町や長野県伊那市などでは、道路側に磁石や電磁誘導線を埋め込んで線路のように車を導くセンサーを設置して実証した。路面に雪が積もっても、車側のセンサーが道路からの情報を読み取り、円滑に自動走行できることを確認した。

一方、悪天候時には車載センサーの性能が低下することが分かった。自動運転車に取り付けたレーダーが降雪を障害物と検知したり、濃霧のなかではセンシング力が下がるため、悪天候時には運行しないといった走行環境を制限することも必要だとした。

遠隔操作でオペレーターが車両を管理するシステムについても、一人が2台を操作する技術を確立。事業コストを低減するため、今後は一人で3台を遠隔操作するためのシステム導入も検討する。

高速道路でのトラックの隊列走行については、車間距離の制御技術向上といったシステムの高度化に加え、専用空間の確保についてもさらに議論する。

自動運転に対する信頼に関するアンケート調査で、自動運転車に試乗する前は65%の人が不安があると答えたが、試乗後は約8割が不安を感じなかったと回答。実際に体験することで不安解消に効果があることや運転手不在に不安があるという意見もあった。また、長野県の道の駅のアンケート調査から、約6割が自動運転サービスの利用に200円以上の支払い意思があるということが分かった。

日刊自動車新聞11月26日掲載

開催日 2019年11月6日
カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

国土交通省

対象者 一般,自動車業界