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2019年11月23日

日刊自連載「自動車保険新時代」(2)募集品質向上

2016年の改正保険業法の施行にともない、新車ディーラーをはじめとした保険募集を行う代理店には、消費者の意向を把握する仕組みの導入をはじめとした業務体制の整備が義務付けられた。損害保険各社は、ディーラーにバリューチェーン収益の柱の一つとして保険事業にしっかり取り組んでもらうため、マネジメント層から実際に販売を担うスタッフまでを対象として、改正法に適したさまざまな支援を展開している。

改正保険業法が従来法と異なる点は、保険募集の際の基本ルール創設、代理店など保険募集人に対する「体制整備義務」が導入されたことなど。

改正前の保険募集規制は虚偽説明など「不適切な行為の禁止」にとどまっていたが、改正法では情報提供や意向把握の義務といった顧客対応にきめ細やかさを求める義務を設定した。体制整備は従来、保険会社に対し課されていた。改正後には細かな基本ルールの導入にあわせて保険募集人、つまり新車ディーラーなどに対しても業務の特性や規模に応じた体制整備を求めるようになった。

損保各社は、法改正に合わせて、代理店のマネジメント層やスタッフに対する支援策を一段と強化した。

三井住友海上は「代理店に体制整備が求められるようになったため、マネジメントのレベルを上げていく必要が生じた」(自動車営業推進部)として、ディーラー店長が対象のマネジメントセミナーに力を入れる。車両販売に比べ保険募集の優先度が落ちがちなため「車両と保険を両輪としてどのように売ればよいのかを、店長が理解し店舗を率いてもらうことが大切」(同)と考える。

スタッフ向けのツール提供で募集力の底上げを図る動きもある。あいおいニッセイ同和損害保険は数年前から保険募集時に活用する顧客向けビデオを作成し、具体的な理解を助けることにした。商談にタブレットやパソコンを活用するディーラーが珍しくなくなったため、ビデオ提案が行いやすくなった。

損害保険ジャパン日本興亜はスタッフ向けの教育用ビデオを作成、ロールプレーイングの得意なスタッフのノウハウを他のディーラーに展開することにつなげている。

東京海上日動火災保険は昨年、代理店スタッフ向けツールの募集用チラシを刷新した。説明文の脇に自由記入欄を設けて、スタッフが顧客の要望に見合った説明を書き加えられるようにした。

(画像)東京海上日動はチラシの半分を白紙に。ディーラーの営業スタッフが自分の言葉で保険を説明できるようにする

もとは、あるディーラーの営業スタッフのノウハウだった。これを広く代理店に提供することに踏み切った。営業スタッフが手書きで保険のポイントを教えることで「自分の言葉で保険を説明できる人が増え、顧客の満足度を高められる」(自動車営業開発部)など、募集品質の向上を期待している。

一方で「代理店によっては保険販売に慣れているところとそうでないところがある。ツールを提供するだけではいけない」(三井住友海上・自動車営業推進部)と、個々のディーラーの状況に合わせて支援を展開するべきだという声が上がった。

新車ディーラーでの保険販売は取扱高が増加傾向にある。損保各社はさらなる拡大を目指して、ディーラーに対する支援を競うことになる。

開催日 2019年11月20日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

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対象者 自動車業界