会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2019年11月20日

リサイクル北から南から エコアール、台風19号で大きな被害の栃木県 冠水車両 積極受け入れ 地域貢献 強い使命感 手間 大幅に増えても

令和元年台風19号による豪雨被害の発生から12日で1カ月を迎えた。東日本では河川の氾濫で道路が冠水し、建物の浸水被害が相次いだ。栃木県も、普段は水量が少ない秋山川(佐野市)や田川(宇都宮市)などの支流が豪雨の影響で氾濫し、県内各地に甚大な被害をもたらした。翌13日には冠水などで自走できなくなった車両のレスキュー依頼が、自動車販売会社や日本自動車連盟(JAF)などに殺到。

販社や整備専業者、自動車リサイクル事業者の車両置き場(ヤード)には、続々と浸水被害に遭った車両が運ばれることとなった。

自動車中古部品卸売業のエコアール(石井浩道社長、栃木県足利市)では、台風19号に伴う豪雨で従業員数人の自宅も浸水被害を受けた。従業員も被災者という状況の中だったが、石井社長は地元地域の早期復興を願い、冠水などした被災車両を積極的に受け入れる考えを内外に示した。

エンジンルームには草やごみが絡まっている

冠水車両の車内は泥などで汚れていた

はなまるが使用している 臨時ヤード(栃木県佐野市)

同社によると、県内で冠水被害に遭った車両の多くは車内に泥が大量に流入していたり、漂流した草木やごみも車体に絡みついているという。通常は引き取った車両をすぐに解体して作業を分担するなど効率化を図っているが、被災車両の場合は車体を洗浄して泥やごみなどを取り除く処理をする必要があり、1台を処理する時間は普段の倍近くかけざるを得ないのが実情。

エアバッグやハイブリッド車(HV)のバッテリーも水などに濡れた状態では解体作業ができないため、乾燥させる必要があるなど前処理にかなりの時間を要している。 同社では、本来の解体作業に取り掛かる前の処理や続々と運ばれてくる車両の仕分けなど、通常時には必要がなかった作業に人員を増員せざるを得なくなっていた。被災車両を受け入れ始めてからは、通常の作業に携わる人員が減り、手間も大幅に増えて作業効率は半減した状況にある。

「地域の皆が少しでも早く元の生活に戻れるように、誰かがやらなくてはならない作業をエコアールでは積極的に取り組んでいく」。地域に根差した企業の一員として、石井社長は被災地復興に向けた強い使命感を抱いている。「他県の自動車リサイクル事業者などとも連携しながら、被災車両の解体処理方法の緩和などガイドライン策定を国や関係機関に訴えていく」と今後の災害時も踏まえて柔軟な対応を行政に求める考え。

また、同社の敷地以外に佐野市と群馬県太田市に取引先企業が利用できる臨時ヤードを確保した。現在は、台風19号で被災した地域の復興支援活動として「台風19号災害復興支援チーム」を発足した損害車の買い取り・販売のはなまる(岡崎和也社長、大阪市住之江区)が臨時ヤードを活用しているという。2拠点合わせて約500~600台の車両を保管できる。随時、被災車両が運び込まれており、車両プールとしての一時保管や損害保険会社などの査定業務が行われている。

同社は今後も、自動車リサイクル業界や関係各社、自治体など行政機関とも連携しながら、被災地の早期復興に向けて尽力したい考えだ。

日刊自動車新聞11月18日掲載

カテゴリー 社会貢献
主催者

㈱エコアール、㈱はなまる

開催地 栃木県
対象者 一般,自動車業界
リンクサイト

エコアールHP http://www.eco-r.jp/

はなまるHP https://www.hanamaru870.co.jp/