2019年11月21日
整備業界で初、外国人「特定技能1号」取得/スーパーオートバックスKUKI
グレゴリオ・ミゲルさん/日本にいる時間頑張らないともったいない/会社や先輩のサポート大きい
外国人の新たな在留資格「特定技能1号」を整備業界で初めて取得したのが、スーパーオートバックスKUKI(埼玉県久喜市)に勤務するフィリピン人のグレゴリオ・ミゲルさん(28)だ。
外国人技能実習生として来日し、在留中に自動車整備士技能検定試験三級、日本語能力試験「N2」に合格していたことで特定技能1号の在留資格が許可された。同店を運営するユーエイ(一柳昌利社長、埼玉県越谷市)が「会社として欠かせない人材。重要な存在になっている」と期待を寄せるミゲルさんに、現在の状況や今後の目標などについて聞いた。
―来日しようと思ったきっかけは
「もともと親戚が船のメカニックをしておりクルマのメンテナンスも行っていた。私もずっと見てきたので自動車整備は馴染み深い。日本車にも興味があり、とくにビンテージカーに興味があり携わりたいと思っていた。日本には世界に名だたる自動車メーカーがそろっていることも大きい」
―仕事上、生活面で苦労したことは
「やはり言葉。業務上では日本語の作業指示がわからないことも多かった。整備は専門用語が多く知らないことも多いので難しい。ただ、毎日続けていれば慣れてくる」
「生活面では買い物が難しかった。お酢を買いに行ったのにみりんを買ってしまったこともある。薬を買いに行ってもコミュニケーションできないので苦労した。最初は大変だがこれも慣れだと思う」
―日本語を覚えたきっかけは
「フィリピンにいることから好きだった日本のアニメ。最初は『鋼の錬金術師』を見ていた。日本語で聞いて英語の文字を見るというやり方をしていて、これで普段は使わない言葉も覚えられた」
―励みになったことは
「祖国から離れているので頑張るしかない。仕事も勉強も頑張って結果を出さなければならない。それは今も変わらない。どの国でも日本語を話して資格をもっている外国人は多くはない。せっかく日本に来ているんだし、頑張らないともったいない」
「会社や先輩のサポートも大きかった。分からないことが多い中でも、ピット長は何でもやらせてくれた。最初からそうだった。それがあったからさまざまな作業を覚えられた。毎日やり続けることでスキルアップにつながったと思う」
―仕事の中で楽しいことは
「学ぶこと自体が好き。毎日新しいことがあるので楽しい。今はハイブリッド車に関心がある。トヨタとホンダのシステムはなぜ異なるのか。そういう技術的なことも勉強していきたい」
―今後の来日する外国人に対して整備士の先輩としてのアドバイスを
「日本は面白い国。やり方も全然違う。それを心掛けて取り組んでいけば大きな成果につながる。日本は技術的にも先行している。日本にいる時間を一生懸命頑張ることに損はない」
―今後の夢は
「まずは二級整備士と検査員資格を取得したい。その先のことはわからない。目の前のことに対して懸命に努力していく。もう1つ、法的に難しいかもしれないが運転免許を取りたい!」
日刊自動車新聞11月18日掲載
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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主催者 | ㈱ユーエイ・スーパーオートバックスKUKI |
開催地 | 埼玉県久喜市) |
対象者 | 自動車業界 |
リンクサイト | ユーエイHP https://www.yu-ei.com/ スーパーオートバックスKUKIHP http://www.autobacs.yu-ei.com/kuki |
【用語解説】
特定技能制度 国は一定の専門性と技能をもち、即戦力となる外国人材を受け入れる「特定技能制度」を今年4月1日に始めた。自動車整備業界も受け入れ業種に入っている。一定の日本語力と技能を身に付けると認められる特定技能1号において、今後5年間で最大7千人の受け入れを見込み、これを上限として運用する方針を公表している。