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2019年11月20日

復活 東京モーターショー、変身〟に賛否 多様な声

約130万人の来場者を集めた今回の東京モーターショー。他産業を巻き込んだ数々の企画が奏功し、初来場者からは「いろいろな車を早く運転できるようになりたいと思った。自分が免許を取る時、どうなっているのかワクワクする」(神奈川の10代男性)、「ショーに未来を感じた。非現実感が好き」(埼玉の60代女性)と言った声が聞かれた。一方で「もっと身近なクルマが見たい」(東京の20代男性)との声も。模索はなお続きそうだ。

NECやNTTも出展し、都市の未来とモビリティの融合を示した「フューチャーエキスポ」や「キッザニア」、ドローン(無人航空機)レースなど、今回のショーは今までにない催事を採り入れた。東京オリンピックの関係で分散した会場構成も逆手に取り、超小型モビリティなどを集めた1・5㌔㍍のオープンロードでつないだ。

日本自動車工業会の長田准モーターショー特別委員長(トヨタ自動車販売事業本部副本部長)は「これまでのモーターショーという概念ではなく、日本自動車工業会が目指すモビリティをいろいろな企業と手を取り合って『こんな社会になっていくんだ』とわれわれなりに提案し、お客さまにも『次のモビリティは楽しいんだ』と新しい形で体験いただけないかという思いでやらせていただいた」と話す。

07年の142万人以来、6開催ぶりに来場者が 100万人を超えた(写真はトヨタブース)

青海のメガウェブではeモータースポーツの世界大会が開催された
その狙いは「クルマより体験できるコンテンツの多さに驚いた」(群馬の50代女性)、「見たことない車や、ここでしか見れないものを見れて楽しめた」(東京の20代男性)と来場者にも伝わったようだ。「モーターショーではなく、ある種のフェスに感じる」(東京の40代男性)といった声も寄せられた。

もっとも、以前からモーターショーに足を運んでいた人からは「昔よりつまらない」(福井の60代男性)、「自動運転やエコばかりでワクワクするクルマがない」(東京の50代男性)といった声も。インポーター(輸入業者)に勤める40代男性は「自動車だけのときより華はあると思ったが悲しい」と苦笑していた。

有明エリアと青海エリアを結ぶ「オープンロード」で一人乗りモビリティを楽しむ人々

東京に限らず、世界のモーターショーは曲がり角を迎えている。9月に開かれた独フランクフルトショーは来場者が56万人と前回より3割減り、独自動車工業会は開催地も含めて企画の練り直しに入った。米デトロイトショーは開催時期を「コンシューマーエレクトロニクスショー(CES)」と重複する1月から6月に移す。長田委員長も「通常のモーターショーはグローバルで出展規模や参加者が減っているのは間違いない」と認める。

開催前に来場目標100万人を宣言した日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ社長)は「甲子園や箱根駅伝など、100万人が集まると誰もが知っているイベントになる」と理由を答えている。まず一定の集客力を確保し、他業種を巻き込んで方向性を探る構えのようだ。

丸本明副会長(マツダ社長)も「自動車の枠を超え、さまざまな業界の皆さまとともにオールジャパンで暮らしや街の課題解決に取り組み、日本の経済や社会の発展に貢献していく」とショーの将来像を語る。 ただ、愛知から来た50代男性は「何だかよくわからない」とつぶやいた後、「まだ過渡期なのだろうけど…」と付け加えた。模索は始まったばかりだ。

日刊自動車新聞11月16日掲載

カテゴリー 展示会・講演会
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対象者 自動車業界
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自工会ニュースリリース

第46回東京モーターショー2019 閉幕-新生モーターショーに 1,300,900人がご来場-

https://www.tokyo-motorshow.com/press_release/20191105.html