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2019年11月15日

日刊自連載「補修塗料 新時代」(中)技能と知能化

顧客の生産性向上のため、研修や教育にも力を入れる

新車では、従来の溶剤系とは取り扱い方法が異なる水性塗料や、パール系顔料などを使用した補修が難しい〝高難度色〟の採用が進んでいる。塗料メーカー各社では、これらを使用した車体塗装の適切な補修方法を板金塗装(BP)事業者に理解してもらい、自社塗料のユーザー拡大につなげることが、持続的な成長に不可欠な要件となった。各社は、独自の作業研修メニューの開発を進めながら、顧客獲得を競っている。

パール系塗料などの高難度色は、光輝性が高く見映えが良い半面、光の当たり具合によって色味が変化するため補修時の調色が非常に難しい。こうした外板色を採用する車種が増えたことで、補修方法についてBP事業者が塗料メーカーに問い合わせるケースが増加している。各社は事業者の作業支援に向けて、補修方法のレクチャーにさまざまな工夫を凝らしている。

日本ペイントは、技術アドバイザーと動画を二本柱に置き作業教育を展開する。従来からのアドバイザーによる問い合わせ対応に加え、塗装ガンの動かし方などの動画によって、事業者が必要な時に、より分かりやすく作業方法を確認できるようにした。

販売本部ARI販売部長の松本顕取締役は「高難度色の相談がどんどん増えている。顧客満足を高めるには、タイムリーな課題の解決支援が重要だ」と述べ、動画の有効性を示した。

関西ペイントは、塗料販売店向け研修にも力を入れる。販売店が自動測色・調色システム『AIカラーシステム』や水性塗料の特長をBP事業者に説明できるように、スキルを身に付けてもらうことがねらいだ。
販売店向け研修は、これまで塗料のスペック解説にとどめていた。今後は事業者にとって身近な販売店に、作業環境改善をはじめとした水性塗料の特徴や、自動測色・調色器の導入メリットを説明する役割を担ってもらいたいという。

自動車補修塗料販売本部長の真貴田厚取締役は「提案力の強化では、販売店に一段と協力してもらうことが必要なので、市場ニーズに合わせて研修内容を更新していく」と、研修に注力する様子を述べた。

ロックペイントはインストラクターが常駐する研修センターを全国7カ所展開する。車両塗料事業部の高野弘行副事業部長は「販売シェアの維持には、アフターサービスで差別化するしかない」と考えており、インストラクター常駐はその一環という。

さらに同社は、製品をより深く理解してもらうために随時、講習カリキュラムの内容と開催日程を見直している。今後は顧客関心が高い水性塗料やカラークリア、調色システム『ドクターロック』を扱う講習を正式メニューとする。従来は日曜開催が多かった講習は平日に順次、切り替える。顧客の働き方改革の動きに合わせ、気軽に受講できる体制を整えて参加を促す。

イサム塗料は調色管理測色システム『彩選短スマート』を使った研修開催を増やしている。岩倉伸介取締役は「経験の浅い若手受講者が増えており、これに合わせた研修内容を用意する必要がある」とした。
また、経営者が経験に関わらず一定水準の調色作業を可能にする調色システムに興味を持つケースが増えた。これに応える場を積極的に設け、導入事例を増やしていく考えだ。

日刊自動車新聞11月12日掲載

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