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自動車産業インフォメーション

2019年11月14日

エネ庁、EV充電時間帯で料金変動 ダイナミックプライシング 需要分散へ実証

経済産業省・資源エネルギー庁は、電動車を充電する時間帯に応じて料金が変動する「ダイナミックプライシング」の効果を検証するための実証実験を来年度から行う。

電気料金が安いタイミングでユーザーが充電するよう料金面で誘導。充電のタイミングが集中するのを回避して、追加の系統(電線)増強などの投資を減らす。電気自動車(EV)の本格普及を見据え、電力システム全体で見たときのEVの効率的な活用法を見いだす。
小売電気事業者は、卸電力市場で電気を調達して、契約を結ぶ顧客にエネルギーを供給している。小売事業者は、電力の需給状況により価格が変動する卸電力市場で電気を調達しても、顧客に売るときには一律の価格で提供するケースが多い。

一方、ダイナミックプライシングは、卸市場価格に応じて電気代を変動させる仕組み。太陽光発電の導入が多い九州の場合、再エネ発電量が多い昼間の時間帯では卸電力市場での㌔㍗時当たりの電気料金は0・01円と、日没の時間帯の同8~10円と比べて大きな価格差が生じる。
EVを充電する際にダイナミックプライシングを適用すれば、昼間に充電したときの充電料金が安く、ユーザーは恩恵を感じやすい。

また、送配電事業者にとってもメリットがある。経産省によると、30万台のEVが地方都市で普及した場合、平日は、勤務地到着後の朝と帰宅後の夕方に電力需要が拡大する見通し。特定の時間帯に電力需要のピークが集中すると、電線を太くするといった設備投資が必要になる。料金面で、充電のピークをシフトできれば追加の投資を抑えることも可能になる。

エネ庁は、全国を対象に、2020年度からダイナミックプライシングを使って電動車充電のピークシフトを狙う実証を行う。実証への参加や専用の電気料金の契約などを条件に、EVを購入する民間企業や個人を対象に定額の車両購入補助を行う。必要な設備の設置費用などもサポートする。実証期間は22年度までの3年間で、電動車を活用した効率的な電力システムの構築を目指す。

日刊自動車新聞11月12日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

資源エネルギー庁

対象者 一般,自動車業界