2019年11月12日
三菱ふそうと国士舘大が共同プロジェクト 災害時も走れるトラックを
キャンター4WDをベースに製作した
地震や洪水など災害発生後の現場に迅速に駆けつけられる移動手段の一つがクルマだ。だが、市販されている車両では、災害によって荒れた路面や冠水状態の道路にも確実に対応できるわけではない。被災地まで安全にたどり着けて、支援物資を搭載できる車両はないか―。
そんな思いを抱えていた国士舘大学の防災・救急救助総合研究所と三菱ふそうトラック・バスはこのほど、災害時に特化した車両の研究、製作で共同プロジェクトを開始した。
三菱ふそうと国士舘大の共同プロジェクトの成果の第1弾「アテナ」が、4日まで開催された東京モーターショーで初公開された。ベース車は小型トラック「キャンター」の四輪駆動車。
架装部分には引き出し式の棚を付けて、災害の内容に応じて適切な救助キットを搭載しやすいようにした。車両が入れない細い道路を見て回るために必要なオフロードバイクや、情報収集のためのディスプレーを搭載する空間も確保。100㍑の水タンク2個や発電機も搭載可能とした。
国士舘大の同研究所は、災害に関連する教育や研究を行っている。さらに災害が起きたときに現地に人員派遣も行う。だが、現地に向かう際の市販車は、救助支援用の荷物の搭載性は高くなく、土砂やがれきの散乱も予想される災害現場を走るのには適しているとはいえなかった。
「被災地に行くには、自分たちで無事に行って戻れるようでないといけない。安全に人と荷物を載せられて、悪路も走れる、災害に特化した車両を求めていた」(同研究所・助教の津波古憲氏)。
共同プロジェクトでは、国士舘大が車両の要件を出し、それに三菱ふそうと架装メーカーのパブコが応えた。特に自動車メーカーと連携できたことによるメリットは「法規や安全性を担保しながら、車両を変更してもらえた」ことだったという。例えば、冠水状態の地域に行ってもマフラーをはじめとした機能部品に影響がないことなども検証した。
今年4月に始まった共同プロジェクトだが、今年10月には三菱ふそうと国士舘大は連携協定も締結した。今回の車両は成果の一つで今後は「もっとさまざまな現場に対応できるようにするなど改善していく」(三菱ふそうのセールスマーケティング&カスタマーサービス本部・マーケティングコミュニケーション部・イベント・プロモーション課アグスティン・トリスタン課長)。
国士舘大学との連携による成果は「現段階では収益化は想定していない」としているが、三菱ふそうは同活動を通じて、災害を含めたトラックの活用の可能性を模索する。
日刊自動車新聞11月9日掲載
カテゴリー | 社会貢献 |
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主催者 | 三菱ふそうトラック・バス㈱、国士舘大学 |
対象者 | キッズ・小学生,中高生,大学・専門学校,一般,自動車業界 |