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2019年11月8日

栃木の台風19号被災状況 早期復旧へ支援の和広がる 自動車業界など尽力

栃木県では、10月12日から13日にかけて関東などを縦断した台風19号の豪雨で複数の河川が氾濫し、栃木、佐野、足利市などの県南地域をはじめ、各地で浸水を伴う甚大な被害を受けた。県内では、自動車業界を含め復旧に力を尽くしているが、今なお影響は続いている。

栃木県災害対策本部(本部長=福田富一知事)が10月31日に発表した被害状況では、人的被害が死者4人、負傷者23人、住家被害が全壊50棟、半壊・一部損壊273棟、床上・床下浸水が1万9395棟、非住家被害が5051棟となっており、同対策本部では、確認作業が進むにつれて今後も被害件数が増加する見通しを示している。

その中で日産自動車、栃木日産(小平雅久社長)、日産プリンス栃木(髙木純一社長)の3社は、被災市町への物的支援として「リーフ」を栃木市に4台、佐野市に1台提供している。

また、栃木県トラック協会(吉髙神健司会長)では、栃木、足利、佐野、小山、鹿沼市、上三川、野木町へ消耗品などを提供している。

本紙が独自調査を行ったところ、県内自動車販売会社17社で、車両やショールーム、工場などに何らかの浸水被害があった。また、県内整備専業者でも30社超が浸水被害により稼働がストップしたほか、宇都宮市内にオークション会場を持つ栃木県中古車販売店商工組合(JU栃木、髙谷昭彦理事長)では、オートオークション(AA)会場と事務所で床上浸水被害に遭い、18日のAAを休催した。その後の復旧作業により25日のAAから稼働を再開した。

宇都宮市内を流れる田川の氾濫により、付近の一部新車販売店で冠水し車両や設備に被害が及んだ。また県内でも特に被害の大きい佐野、栃木、足利市の県南地域では、ショールームや事務所、工場のリフトなどへの浸水で、31日現在でも稼働ができず、復旧作業を続けている拠点もある。

そうした中、被災店舗の既納客への代車が足らず、県内の他店舗の試乗車や系列会社のレンタカーなどを充てる販売会社もあった。一方13~30日頃の間、浸水被害家屋の調査などで、県内の損害保険各社が一斉に調査を行い、タクシーを日中貸し切りで使用するなどしたため、被災地域付近では乗車可能なタクシーが枯渇していたが現在では普段通りに戻りつつあるという。

また、栃木県ホンダ会(岩瀬裕昭会長)をはじめとした各ブランドの地域会では、被災店舗に対しての復旧に向け清掃などを手伝う支援に加え、新車や中古車の在庫を融通する動きも見られるなど、早期復旧へ支援の輪が広がっている。

一方、日本自動車連盟(JAF)栃木支部(岩瀬裕昭支部長)では、台風19号の接近後16日までの5日間で、ロードサービスの救援依頼件数が累計1182件を記録し、災害時に他県へ出動する「JAFロードサービス特別支援隊」が愛知、岐阜、三重、大阪などから現地入りしロードサービス体制を強化した。

また、NGP日本自動車リサイクル事業協同組合(佐藤幸雄理事長)は10月17日に「台風19号 水害対策本部」をNGP本部(東京都品川区)に設置し被災地域各地に臨時ヤードを構え、栃木県佐野市にもヤードを設置し引き取り業務の強化を図った。

政府は10月29日に、台風19号の暴風雨による災害について激甚災害の指定を閣議決定した。被災地では日常を取り戻した地域と復旧途上の地域が混在し、生活や仕事が完全に元に戻るには相当の日数を要すると見られる。

日刊自動車新聞11月6日掲載

カテゴリー 社会貢献
主催者

主な支援企業・団体

日産自動車、栃木日産、日産プリンス栃木、栃木県トラック協会、栃木県ホンダ会はじめ各地域ブランド会、日本自動車連盟・JAFロードサービス特別支援隊(愛知、岐阜、三重、大阪など)、NGP日本自動車リサイクル事業協同組合

開催地 栃木県
対象者 中高生,大学・専門学校,一般,自動車業界