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2019年11月6日

日刊自連載「交通安全・医理工連携の今 世界一への挑戦」☆9/伊東祐次、損保業界と日本交通科学学会の連携

一般社団法人 日本損害保険協会 常務理事

私が所属する日本損害保険協会の概要と取り組み、日本交通科学学会との関わりについて紹介したい。
日本損害保険協会は、損害保険を基盤として、安全で安心な社会の実現に向けて、さまざまな活動に取り組んでいる団体である。中でも、交通事故の防止や事故の被害者に対する支援は、重要な取り組みであり、ここでは、特に注力している「自賠責運用益拠出事業」について紹介する。

まず、自賠責保険は、交通事故による被害者保護を目的として、自動車損害賠償保障法によりクルマやバイク1台ごとに加入が義務付けられている強制保険である。損害保険会社は、自賠責保険の契約者から保険料をお預かりし、交通事故に遭われた被害者に対して保険金をお支払いしている。自賠責保険の保険料(掛金)は、年間あたり約1兆円が支払われている。

被害者に対して保険金を支払うことが自賠責保険の基本的な役割だが、同保険の役割は保険金の支払いにとどまらない。お預かりした保険料を運用した利益は、保険会社の利益とはせず、交通事故の被害者支援事業や交通事故防止事業に役立てている。当協会では、交通事故の未然防止や被害者の生活支援に役立つ様々な取り組みに対し、自賠責の運用益の一部を拠出している。これを「自賠責運用益拠出事業」と呼んでいる。(イメージは【事業の概要】を参照)

同事業の一環として、当協会は日本交通科学学会の活動を支援している。具体的には、体調変化を起因とする事故に関し、その実態調査と対応策に関する研究に対する支援、また、高齢運転者の事故予防に向けた研究に対する支援などである。本学会では、これまで有意義な研究成果をとりまとめ、学術誌への寄稿やシンポジウム等を通じて情報発信いただくなど、交通事故防止に貢献いただいており、今後も、交通事故を防止する取り組みの推進において、協力関係を維持していきたいと考えている。

また、2019年度から、自賠責運用益拠出事業では、交通事故の防止に貢献する様々な取り組みに関して幅広く情報を収集するため、一般に公募を開始した。これは、めまぐるしく変化する社会交通環境の動向を絶えず把握するために始めたものである。

自賠責保険の公的な性格から支援できる団体や取り組みには一定程度制約もあるが、交通事故の被害者を減らすという社会共通の目的を達成するためにも、新たな取り組みや研究について、本公募の下、積極的な応募を期待するものである。

日本交通科学学会 医療、工学、自動車メーカー、行政など幅広い分野からトップレベルの専門家・識者が参加。それらの知見を融合して安全な交通社会づくりを支援することをねらい半世紀以上、活動を展開している

日刊自動車新聞11月2日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
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日刊自動車新聞社まとめ

対象者 一般,自動車業界