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2019年11月2日

MBJ、日本市場の重要性強調 東京モーターショーに計14台を出展 先進技術を披露

東京モーターショーへの出展を見送った海外ブランドが多い中、独ダイムラーとメルセデス・ベンツ日本(MBJ、上野金太郎社長、東京都品川区)は、電動車を中心にコンセプトカーやアジアプレミアの市販予定車など計14台を取り揃えて日本市場に対する重要姿勢を強調している。

電動車戦略の一環として、電気自動車(EV)に加えて、燃料電池やクリーンディーゼルのプラグインハイブリッド車を日本に投入することを発表した。先進技術を駆使した多様なパワートレーン展開構想を提示し、ベンツブランドのさらなる強化と新たな顧客の開拓につなげたい考えだ。

ダイムラーとメルセデス・ベンツ日本は、EVのコンセプトカーであるメルセデス・ベンツ「ヴィジョンEQS」とスマート「EQフォーツー」をアジアプレミアで公開。加えて、日本で市販を予定する新たな電動車ラインアップも2車種発表した。日本とドイツのみで販売を予定する世界初の燃料電池プラグインハイブリッド車「GLC F―CELL(セル)」=写真㊤=と、日本初のクリーンディーゼル・プラグインハイブリッド車「E350de」=写真㊦=がそうだ。

GLC Fセルは、世界標準の700気圧タンクを採用。水素補給時間は3分と、ガソリン車の給油時間とほぼ同程度となる。リアシート下部とセンタートンネル部に合計4・4㌔㌘(欧州参考値)の水素を充填可能で、水素のみでの航続距離は336㌔㍍(同)となる。水素燃料で発電した電気だけでなく、充電した電気や回生ブレーキから発生した電気をリチウムイオンバッテリーに蓄電して動力源とする。最高出力200馬力、最大トルク350ニュートン㍍を発揮する。

メルセデス・ベンツの燃料電池車の歴史は1990年代にさかのぼる。94年に世界初の燃料電池自動車「NECAR1」を発表した。2003年にはパートナー企業らとともに「AクラスFセル」の実証実験を日本でも開始した。09年には性能を向上させた「BクラスFセル」を小規模ながら欧米で展開した。GLC Fセルのデリバリーは20年半ばを計画しており、導入国は日本とドイツのみだ。

独ダイムラーのメルセデス・ベンツ乗用車海外セールス/マーケティング部門のマティアス・ルアーズ最高責任者は、日本市場への投入理由について「先進インフラが整備されているうえに、新技術に興味を持つ顧客が多い」ことを理由に挙げる。次世代自動車振興センターによると、日本の水素ステーションは8月時点で109拠点で、首都圏や中京圏など都市圏を中心に整備が進んでいる。

20年半ばに日本で納車を予定するクリーンディーゼル・プラグインハイブリッド車のE350deには、2・0㍑直列4気筒ディーゼルターボエンジンに電気モーターを組み合わせた。電気モーターのみの最高航続距離は50㌔㍍(欧州参考値)。エンジンとモーターのシステム総合の最高出力は306馬力、最大トルクは700ニュートン㍍と非常にパワフルでスムーズな加速を実現する。

日刊自動車新聞11月2日掲載

開催日 2019年10月24日
開催終了日 2019年11月4日
カテゴリー 展示会・講演会
主催者

日本自動車工業会

対象者 キッズ・小学生,中高生,大学・専門学校,一般,自動車業界

2019メルセデス・ベンツブース 次世代Sクラスと将来の高級車デザイン

11月4日まで開催の第46回東京モーターショー2019で、メルセデス・ベンツ日本(上野金太郎社長、東京都品川区)が、アジアプレミアとして電気自動車(EV)のコンセプトカー「ヴィジョンEQS」を展示している。23日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開いたプレスカンファレンスで、ヴィジョンEQSを手掛けた独ダイムラーのメルセデス・ベンツ研究開発部門でアドバンスド・デザインシニアマネージャーを務めるホルガー・フッツェンラウブ氏が、次世代の「Sクラス」と将来の高級車デザインなどについて語った。

 「ワン・ボウ(ひと張りの弓)」型のボディデザインに、車体を360度取り囲むLEDの「ライトベルト」、車体と一体化したLEDグリルやホログラフィックヘッドライトを持つヴィジョンEQS。同モデルのデザインの根底にあるのは、「プログレッシブ・ラグジュアリーだ」とフッツェンラウブ氏は述べた。

「ワン・ボウ(ひと張りの弓)」型のボディデザインに、車体を360度取り囲むLEDの「ライトベルト」、車体と一体化したLEDグリルやホログラフィックヘッドライトを持つヴィジョンEQS。同モデルのデザインの根底にあるのは、「プログレッシブ・ラグジュアリーだ」とフッツェンラウブ氏は述べた。

 メルセデス・ベンツは、ラグジュアリーというベースがあったうえで、ハイパフォーマンスモデル「AMG」と電動化モデルに特化したモデル「EQ」のサブブランドそれぞれが特性を持ち合わせる。フッツェンラウブ氏曰く、メルセデス・ベンツが「モダン・ラグジュアリー」、AMGが「パフォーマンス・ラグジュアリー」、そしてEQが「プログレッシブ・ラグジュアリー」とそれぞれ表現する。

 メルセデス・ベンツの「ラグジュアリー」を表す要素の一つが長いボンネットだ。「V型12気筒エンジンなどパワフルなエンジンを搭載した車はボンネットが長くなるが、例え同エンジンを搭載していなくてもボンネットの長さは人々にラグジュアリー感を与える」という。同エンジンを搭載したメルセデス・ベンツ車はSクラスにあるが、ダイムラーは年内に同エンジンの生産を終了する予定だ。

ヴィジョンEQSではラグジュアリーを新たに再定義した。Aピラーからリヤまでが一筆で、まるで弓のような一本のラインで構成している。これによって視覚的に全高を低く見せている。ボディサイズはSクラスと比較すると、全高を20~30㍉㍍高くし、ホイールベースもSクラスより長くした。一方で、全幅と全長はSクラス同等だ。

 クルマ同士あるいはクルマと人間や外部とのコミュニケーションを、さまざまな照明バリエーションを通じて交わすことで革新性を表現した。ヘッドライトには新しいコンセプトを導入し、ホログラフィックを取り入れた最新技術「ホロレンズ」を採用した。フロントグリルにはクロームを用いず、LEDライトを採用。その数は合計940個を数えて、「立体感があり、深みに目を引き付けられるようなデザインとした」という。

 ボディのデザインで革新性を示したが、「美しいものを作るだけでなく、素材についても新たなアイデアを出す必要がある」とフッツェンラウブ氏は指摘する。EQSの内装素材には、海洋廃棄物プラスチックからリサイクルした素材を一定量用いている。環境保護のさらなる取り組みと持続可能な素材を両立する。 次期「Sクラス」の発表予定は2020年で、それ以降にSクラスのEVモデル導入を予定する。フッツェンラウブ氏は、「SクラスのEVモデルはヴィジョンEQSと約8割は共通することになるだろう」との方向性も示した。