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2019年10月29日

堺市が自動運転(レベル2)実験を開始、高齢化進む泉北ニュータウンで、2人乗り超小型電動モビリティ 10分間隔で団地内往復

自動運転車でラストワンマイルの移動支援へ―。

団地内の走行ルートを自動運転レベル2で往復する

堺市は高齢化が進む泉北ニュータウンで、自動運転モビリティの社会実験を21日から開始した。高齢者を中心に地域住民の利用を呼びかけ、短距離移動に関するニーズを把握する。自動運転モビリティを活用した移動サービスの実現に向けた課題を検証し、高齢者らが日常生活の中で自由に移動できる環境づくりにつなげる。

実験は大阪府営槇塚台第1住宅内(堺市南区)で行う。自動運転機能を搭載した2人乗りの超小型電動モビリティが「26号棟前」と「槇塚台1丁バス停前」の区間を10分間隔で往復する。運転席にはオペレーターが常に座るが、加減速やハンドル操作などはシステムが行う「レベル2」により、時速10㌔㍍程度で走行する。

今回の実験ではダイヘンが、超小型電動モビリティ向けのワイヤレス充電システム「D―Broad EV CHARGING DOCK」を提供した。磁界共鳴方式を採用し、システム側の送電コイルと車両側の受電コイルの位置が多少離れても効率的に充電できる。太陽光発電と組み合わせ、車両の走行・充電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない完全独立型のシステムを構築した。 運行期間は21日~11月1日の平日で、時間は午前10時~午後2時。

充電はワイヤレスで行う。太陽光発電との組み合わせでCO2排出量はゼロ

槇塚台団地の地域には約6千人が暮らすが、65歳以上の高齢者の比率が4割以上と泉北ニュータウンの中でも高い。堺市では自宅からバス停までの「ラストワンマイル」の移動を支援するため、自動運転車の活用を検討している。

初日から多くの住民が自動運転モビリティを体験した。「静かで乗り心地が良かった」「もう少しスピードが速くてもよい」など、さまざまな意見が聞かれた。20歳代の男性は「団地内は坂道も多く、お年寄りが歩くのは大変だと感じていた。このような自動運転車があれば良いと思う」と実用化への期待感を示した。

堺市は今回の実験では主に高齢者の参加を想定しているが、「健康のために歩くようにしている」と、あえて乗車しない住民もいるという。「生の声を聞くのが一番の目的。実験を通じて、どのようなニーズがあるのかを把握したい」(市長公室企画部政策企画担当・塩見昌男課長)意向だ。運行期間中は最大430人の乗車が可能だが、このうち3割程度の利用を見込む。

体験後はアンケートを実施し、意見や要望を集約する。これ以外にも乗車しなかった住民に理由や状況をヒアリングする予定で、年度内に実験結果をまとめる。将来的には高齢者ら地域住民が円滑に移動できるサービスの実用化につなげたい考えだ。

日刊自動車新聞10月28日掲載

開催日 2019年10月21日
開催終了日 2019年11月1日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

堺市

開催地 泉北ニュータウン(兵庫県堺市)
対象者 一般,自動車業界