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自動車産業インフォメーション

2019年10月27日

東京モーターショー プレスブリーフィングから(Ⅱ)

【ボッシュ】 PASEの日本導入や実証実験進める

ボッシュ シュテファン・ハルトゥング モビリティ・ソリューションズ事業部門長

従来から取り組んできた自動運転、電動化、ネットワーク化に個人のニーズに応じた移動手段を提供するパーソナライズ化を加えた「PASE」の形成に今後注力する。グローバルではすでに電動スクーターのシェアリングサービスやライドシェアリングサービスを展開している。中国でDiDi(滴滴出行)に提供しているバッテリーマネジメントのクラウドサービスは、バッテリーの状態を常時監視、分析することで最適な充電プロセスを指南する。日本でも導入や実証実験の提案を進めており、より個人にフォーカスしたサービスを提供していく。

 

【マレリ】 自動運転など5分野の技術を紹介

マレリ ベダ・ボルゼニウス社長

われわれは、素晴らしい歴史を持つ世界トップレベルの2社が一つのブランドのもとに統合した。顧客やサプライヤーとともに成長を加速していくことを使命とする。
中国企業との戦略パートナーシップの締結をすでに発表したが、この事実は、われわれが成長へ真剣に取り組んでいることを示している。素晴らしいチームに加え、資産も拠点も事業プラットフォームも持っているので、成長戦略の実現を確信している。
今回の展示では、当社が特に注力する自動運転、コネクテッドシステム、インテリアエクスペリエンス、電動化、グリーンテクノロジーの5分野の技術を紹介する。

 

【ヨロズ】 開発力の向上と実行する企業力充実へ

ヨロズ 志藤 健社長

1948年に創業し、手作りで工作機械を作り始めた。以来、国内自動車メーカーの海外進出にともない海外でもネットワークを拡大してきた。現在、将来の成長、飛躍を目指して、開発力の向上とこれを実行する企業力の充実に取り組んでいる。
収益力強化策として、米アラバマ州の新拠点や大分の新工場に自動化ラインやAGV(無人搬送機)を導入したほか、最新鋭プレス機を日本、米国、メキシコ、中国に導入した。ローコストでフレキシブルな生産設備は社内で開発、製作している。
今後、軽く、強く、安く、早くをキーワードに、サスペンションシステムメーカーとして成長したい。

 

【ニッパツ】 精密プレス技術応用し電動車積層部品

ニッパツ 茅本 隆司社長

今年、創業80周年を迎えた。1939年に自動車用懸架ばねの生産を開始して以来、コア技術である金属の塑性加工技術や熱処理を軸としてさまざまな製品を提供し、情報通信や産業、生活などにまで幅広く業容を拡大してきた。
今回は、当社の精密プレス技術を応用した、電動車の駆動用モーターに使うコアやローターの電磁鋼板に使う積層部品に加え、ECU(電子制御ユニット)やLEDライトに使う金属基板、鉄を使い切って高強度、耐疲労性を高めた懸架ばね、自動運転向けコンセプトシートなどを紹介する。
今後もグループをあげて社会を支え、まっすぐにものづくりに取り組みたい。

 

【日立オートモティブシステムズ】 ワンストップで高品質セキュリティーを

日立オートモティブシステムズ 山足公也エグゼクティブ オフィサーCTO兼技術開発統括本部長

日立グループにおけるオートモティブシステム事業の売り上げは1割近く、重要なセグメントを担っている。環境性能と走行性能を最大化する電動車向けモーターとインバーターのほか、ミリ波レーダーやセントラルゲートウェイなどADAS(先進運転支援システム)技術を展開している。シャシーシステムでは制御を支え車両運動を統合制御するシステムの強化に取り組んでいる。
個々の部品レベルで強い製品を作り、高品質なセキュリティーシステムをワンストップで提供できるのが当社の強みだ。この点をアピールしたい。

 

【矢崎総業】 モビリティ事業本部で社内改革進める

矢崎総業 矢﨑 信二社長

産業構造そのものが変革する今、これに対応するためには従来の常識にとらわれず、これまでの延長線上にない新たなビジネスを創出できるよう、社内改革を進めることが急務だ。
その第一歩として6月に「モビリティ事業本部」を新設した。これにより、今まで培ったワイヤーハーネスを中心とした自動車部品の事業基盤に加え、タクシー、バス、トラックなどの商用車を対象とした、運行管理や安全運転などのデータビジネスを統合した。今後は、シリコンバレーのヤザキイノベーションズの活動を活性化し、ビッグデータを有効活用するためのAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの先端技術による、新しいビジネスモデルの創出を加速する。

 

【テイ・エス テック】 「仕合わせる」媒体として新たな価値を

テイ・エス テック 保田 真成社長

当社の製品作りでは、多様で奥深く、無限に進化する快適さを追求している。
今後向かう先には新たなモビリティ社会があり、新技術で人と車の関係性が大きく変化する。当社の製品は将来、人と車をつなぐものから、人と人、コト、モノを巡りあわせる、つまり「仕合わせる」媒体として新たな価値を生み出し、感動してもらいたい。
今回は、「スペース」が特別な「プレイス」に変わる次世代車室空間「イノヴェージ」に加え、座れば誰もが笑顔になれるシートシステム「愛されるシート」を紹介する。
今後も「今」を超えて創造し続け、喜びを提供していきたい。

 

【マーレジャパン】 樹脂バッテリーケース量産化を

マーレジャパン 坂野 慎哉副社長

マーレは、来年100周年を迎えるグローバル企業だ。日本市場には約50年前に進出し、国内に約400人の製品開発者を配置している。日本はマーレの最重要拠点であるとともに、アジアのセンター機能を擁している。
今回は、内燃機関用製品に加え、電動化領域における新たな取り組みや熱マネジメントシステムを紹介している。 ピストンや、樹脂ヘッドカバーは日本市場で高いシェアを誇っており、樹脂オイルパンの量産化も実現した。今後は、マーレの熱マネジメントシステムと樹脂成形技術を生かして、バッテリーケースの開発、量産化を目指したい。

 

【日立金属】 高機能材料で自動車やその他の分野でも

日立金属 グローバル技術 革新センター 井上謙一センター長

モビリティの既成概念が大きく変化している。車の駆動力がエンジンからモーターに変わり、モーター自体やインバーター、車載充電器などはさらなる高性能化が求められる。一方でモーターは世界の電力消費量の約4割を占める。世界規模で省エネルギー化を進めるために高効率モーターの開発も求められる。自動車の高機能材料や部品を提供する日立金属が開発したアモルファス合金は一般的なモーターコア材に比べて鉄損を約10分の1にとどめ、電力の効率利用ができるようになる。変革期に業界をリードする高機能材料で自動車やその他の分野にも広げていきたい。

 

【澤藤電機】 電機分野でソリューション企業を目指す

澤藤電機 吉川 昭彦社長

電気を作る、溜める、使うの分野でソリューション企業を目指す。岐阜大学と共同で水素製造装置を開発した。プラズマを活用することで、CO2(二酸化炭素)レスでアンモニアから水素を製造する。従来の製法より装置の小型化とコストダウンを実現できるため、新しい需要獲得を見込めると思う。装置を搭載した電動バイクの実証実験も進めており、アンモニアを原料に走る燃料電池車の実現も夢ではない。
商用車のハイブリッド車、電気自動車向けのバッテリーパックやインバーターの開発にも力を入れており、ミライの商用車のあり方を模索し続ける。

 

【Aidea】 電動バイクに電機を貯める第3の選択肢

Aidea 池田 元英社長

アイディアは今回の東京モーターショーで新たに誕生したブランドだ。これまではアディバという会社を経営していたが、新たに電動のモビリティを提供する会社として生まれ変わった。
私自身が電力関係のキャリアを積んできた中で、クルマが電池そのものになりつつあると感じてきた。11月からは電力の固定価格買い取り制度が終わり始め、家庭用太陽光発電で得たエネルギーは電力会社に安く売るか、家庭で使うかという選択肢しかなくなる。そこで、電気自動車よりも手軽に保有できる〝電動バイクに電気を貯める〟というのを第3の選択肢として広めていきたいと考えている。

日刊自動車新聞10月25日掲載

 

開催日 2019年10月23日
カテゴリー 展示会・講演会
主催者

日本自動車工業会

対象者 大学・専門学校,一般,自動車業界