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2019年10月28日

ユニークな提案相次ぐ/センサー統合ランプやベルト一体シート/部品各社が自動運転で/東京モーターショー

「第46回東京モーターショー2019」で、部品メーカー各社が自動運転領域でユニークな提案を積極的に行っている。ドライバー不在の完全自動運転車を想定した独自のコンセプト技術出展が目立ち、安全性や快適性の観点から、新技術を数多く披露した。部品各社は独自技術を起点に、自動運転社会の実現を支えようとしている。

今年、カルソニックカンセイとマニエッティ・マレリが統合し発足したマレリは、自動運転レベル3以上を想定した自動運転用センサー統合ランプユニットをコンセプト出展した。車の四隅のライトにセンサーを埋め込むことでコンパクトかつ高いデザイン性を維持しながら、全方位で障害物を検知する。

赤外線を使用した光検知器とLiDAR(レーザースキャナー)、短・長距離レーダーをランプユニットに統合した。また、各種センサーから取得した路面状況などのデータをフルアクティブ制御サスペンションと連動させて活用することで、ドライバーの快適性向上や姿勢制御が必要な際の乗員の安全性確保につなげる構想を提案した。

ニッパツは、軽量ベルトインシートフレームを開発品として初出展した。レベル4以上の自動運転車を想定し、ベルトマウントとシートフレームを一体化し、事故発生時の高いベルト負荷に耐える強度を確保しつつも、既存量産フレーム比30%の軽量化を実現した。シートフレームには、1470㍋ パスカル と1180㍋ パスカル の超高張力鋼板の採用を拡大し各部品を薄板化した。

ハンドルのない完全自動運転車では、シートを180度回転させるなどシートアレンジの自由度が高まるため、シートベルトを車体側から引っ張るのが難しくなる。開発品はこの課題を解決する。2024年以降の実用化を見込む。

小糸製作所は、路面描画ランプを参考出展した。完全自動運転車では、車自身が対向車や歩行者に次の挙動を伝えて安全性を担保する必要がある。同社は、車体を点灯させたり、ランプを使ったライティング技術で路面に文字などを投影するなど光を使ったコミュニケーションを提案した。100万枚以上のミラーを持つDMD(デジタルミラーデバイス)を使用し、繊細な模様や文字の描写を実現した。まずはカーシェアリングなどの配車車両から需要を想定し、予約情報の表示や〝おもてなし〟の要素も加えた。

一方でミネベアミツミグループのユーシンは、ミリ波レーダーの信号処理を高い精度で行うソフトウエア技術を参考出展した。独自のアルゴリズムを開発して分解能を高め、物体をしっかりと捉えられるようになる。自動運転車のセンサーで主役と目される光センサーは霧の中では性能が落ちるが、霧中でも透過するミリ波レーダーは安全面で求められている。自動車向けはソフトウエアのみの提供を想定する。

日刊自動車新聞10月25日掲載

 

開催日 2019年10月25日
カテゴリー 展示会・講演会
主催者

日本自動車工業会

対象者 自動車業界