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2019年10月21日

台風19号禍1週間 物流・旅客運送業界を直撃 運休や迂回集荷・配達 影響長期化は必至

台風19号は道路の損壊や車庫・車両の浸水などを生じさせ、物流網の寸断やバス路線の運休・経路変更につながるなど、物流・旅客運送業界にも大きな被害をもたらした。各事業者は復旧に全力を挙げているが、発災から1週間程度たっても復旧の見通しが立たない事業者も多く、影響の長期化は避けられないと見られる。

高速バスは、中央自動車道と国道20号の寸断、東北地方の浸水被害などの影響により、主に都内や千葉・埼玉県などと甲信を結ぶ路線の全面・一部運休や迂回運行が続いている。特に山梨では、中央道などと平行して通るJR中央線も被害を受けたため、通勤通学者が多い都内や神奈川県内への行き来が難しくなっている。このため国土交通省は東京方面への行き来について、鉄道バスともに静岡県内を経由するルートへの迂回を推奨している。

路線バスでは、福島交通が郡山支社のバス車両約90台が浸水被害を受けたため、大幅な運休に追い込まれた。関東でも土砂崩れや路面陥没、倒木などの影響により、多くの事業者の路線で運休や迂回運行が続いている。

関東運輸局によると18日現在で、都内と茨城・栃木県内でタクシー車両14台が水没したとの情報が入っている。また、水戸市からの要請を受け、市内のタクシー事業者が発災前に車いす利用者や要介護者らを避難させたという。

東京ハイヤー・タクシー協会(東タク協)は16日、台風19号による会員事業者の被害状況をまとめた。報告があった131社のうち、17社から被害の申告があった。

主な被害状況を見ると、車両の水没や建物・構造物の損壊。「事務所が雨漏り」「窓ガラス・ドアが破損」「部屋の天井が崩落し、床面が水浸し」「乗務員募集の看板が破損」などの申告があった。 そのほか「社員の通勤障害」「停電」「全車両の運行停止と乗務員・運行管理者の自宅退避」などもあった。

一方、大手物流各社では被災地での集配だけではなく、被災地以外での集荷にも影響が出ている。

日本通運は、企業間輸送サービス(アロー便)で、東北の太平洋側と関東、長野県内などでの集配が不能、または遅延になっている。

ヤマト運輸では、複数の営業拠点で浸水の被害があり、車両と荷物が損傷した。同社では水につかった荷物の配達先に連絡した上で配送する措置を取っている。18日現在で東京都奥多摩町と長野市の一部地域などへの配達受付を中止している。

佐川急便は、東北地方で鉄道施設に被害が生じたため、鉄道を利用して運んでいる北海道向けの荷物の引き受けについて、東京23区内に限り受け付けている。

その他、日本郵便や名鉄運輸、西濃運輸、福山通運なども、ホームページで最新の配達状況を公開している。

日本貨物鉄道(JR貨物)は16日までに、被災地を通コンテナ列車369本、車扱列車21本が運休した。東北ではトラックによる代行輸送を実施している。

関東運輸局の18日のまとめによると、トラック関係では、茨城県内で床上浸水や施設損壊など9事業者(うち車両被害3事業者7台)、群馬県内で土砂崩れや冠水などで15事業者(同5事業者36台)の被害があった。

各都県トラック協会は、自治体からの要請を受けて非常食や飲料水、毛布、ブルーシートなどの物資輸送に乗り出している。

日刊自動車新聞10月21日掲載

開催日 2019年10月18日
カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞社まとめ

対象者 一般,自動車業界