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2019年10月16日

デロイトトーマツ調査 高まるCASEへの関心

電動化や自動化などの次世代自動車の技術やサービスに対し、消費者の関心が高まっている。デロイトトーマツグループ(永田高士CEO、東京都千代田区)がこのほど発表したCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に対する消費者意識調査によると、電気自動車(EV)に対する認知度は7割程度を維持し、購入意識が高まっていることが分かった。

自動運転の認知度は約8割で、心理的な抵抗は和らぐ傾向にあるものの安全性や事故時の責任に対する不安は依然根強いことも分かった。各自動車メーカーが技術革新を進める中、次世代自動車の普及には消費者の受容性を高めることも求められそうだ。

調査は8月14~15日の2日間、東京23区と政令指定都市などから、老若男女、クルマの保有非保有を問わず2千以上のサンプルから結果をまとめた。EVに対する認知度(「とても良く知っている」「まあ知っている」の合計)は、エコカーの中ではハイブリッド車(76%)に次ぐ70%だった。国内乗用車販売におけるHV比率が4割弱なのに対し、EVは1%にも満たないことから、EVの注目度の高さがうかがえる。購入意向については、2015年結果の18%に対し、19年は26%まで上昇した。

購入検討理由で最も多かった「環境に優しそう」は12年調査結果より22㌽下がったが、「高揚感を味わいたい」「周囲にアピールしたい」などが増加した。

デロイトトーマツグループの濵田悠アソシエイトディレクターはこうした結果について「エモーショナルな要因が出てきた。ジャガーやテスラなどを意識した傾向がある」と説明する。ただ、EV購入障壁の理由では「価格が高い(車体・維持費・燃費等)」が多く、価格がネックである状況は変わらない。期待する価格についても約7割の消費者が250万円未満を希望する一方、高価格帯に対する許容度も高まる傾向が見られた。
自動運転に対する認知度はここ数年は8割程度で推移する。自動運転車の公道走行や利用については半数を下回っているが、数値は年々高まっており「実証実験が進み、『ハンズオフ』機能を備えたクルマも登場し、自動運転に対する心理的はハードルが下がっている」(濵田アソシエイトディレクター)。

自動運転車両のメーカーに対する嗜好性については、従来の自動車メーカーを支持する消費者が半数以上となり、「これまでメーカーが蓄積してきた安心感が根底にある」(同)ようだ。自動運転機能に対する支払許容範囲は、約8割の消費者が30万円未満と答え、今後は自動運転機能の高度化とコストのバランスが課題となる。

コネクテッドサービスの利用状況調査では、「有料利用者」が全体の5%、「無料利用」が8%、「利用してみたい」が16%だった一方で、「今後も有料では利用したくない」が39%を占めた。利用料は月額1千円以内が大半を占めた。車両盗難時のGPS追跡サービスなど非常時対応は有料でも利用したいとする一方、「インフォテインメント機能はスマートフォンで代替えできるため」(同)有料で利用したいと考える消費者は少ない傾向にある。

日刊自動車新聞10月12日掲載

 

 

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

デロイトトーマツグループ

対象者 自動車業界