会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2019年10月17日

日刊自連載〈自動運転攻防 外資系サプライヤー次の一手〉インタビュー コンチネンタル・オートモーティブ・ジャパン バート・ヴォーフラム社長

コンチネンタル・オートモーティブ・ジャパンは、昨秋に自動運転レベル4相当のロボットタクシーを日本に導入した。日本独自の走行データを収集し、技術開発にフィードバックする。来年からは3DフラッシュLiDARの量産を計画しており、レベル3以降を視野に入れた製品投入を本格化する。

―量産している自動運転技術の進捗は

「最も引き合いが強いのはADAS(先進運転支援システム)分野で、売り上げへの貢献も大きい。量産しているセンサー類では、レーダーやカメラなどを組み合わせることで、レベル2までに対応する。レベル3、4に対応するにはアクチュエーションのシステムやLiDARが必要になってくるため、2020年に3DフラッシュLiDARの量産を計画している。また、AI(人工知能)機能を付帯した第5世代多機能カメラの提案も進めており、より高い次元で顧客の要望に応えられるようにする」

―次の段階のレベル3の実現には課題も多いが

「事故責任や運転の主導がシーンによってシステムと人の間で切り替わるレベル3は大きなステップだ。移行をスムーズに実施できるかが課題点になる。また、センサー自体のパフォーマンスを向上させるとともに、搭載個数も増やさなければならないため、コストもかかる。そのため、システム自体はレベル3相当だが、運転手の監視を前提としたレベル2+の搭載を進めるケースも出てきた。当社としては1から5まで段階を踏んでセンサー類を提供していくが、よりニーズが大きい領域で存在感を示したい」

―昨年9月に無人自動走行するロボットタクシーを日本に導入した。レベル4相当の技術を実現しているが、普及に向けたシナリオは

「カメラやミリ波レーダー、LiDARを組み合わせて自動運転を行う。運転手がいないため、カメラが車内を監視し、安全に走行できるようモニタリングする。レベル3以上のシステムは、複数のLiDARやハイパフォーマンスコンピューター(HPC)といった高価な機器を搭載する必要があるため、乗用車で数千㌦規模のコストがかかる。ただ、商用車であればコスト面の課題はそこまで大きくはない。運転手が必要ないため人件費を削れるほか、利用料金などでペイできる仕組みも作れるためだ。商用車の自動運転車はより現実に近い分野と言える。まずは都市部での普及を見込み、日本市場ならではの情報を収集していく」

「ただ、当社の目標はロボタクシーそのものを作ることではない。各センサー類の機能を高め、ソリューションとして提供することだ。グローバルで共通した製品を作る方針のため、より多くの道路やエリア情報を蓄積していく」

―自動運転の実現に向けた今後の課題は

「車外の静的・動的情報を把握、評価する『包括的環境モデル』の早期構築だ。現在、車内には1億ものコードがあるが、車車間(V2V)通信や搭載されるセンサー類が増えれば10倍になると想定されている。データ量が増大した時に対応できる高性能なECU(電子制御ユニット)に加え、環境情報や交通規制情報など外部から得たデータを瞬時に精査し処理するシステム網の構築はマストになる」

日刊自動車新聞10月10日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日刊自動車新聞社

対象者 自動車業界