会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2019年10月12日

日刊自連載 自動運転攻防 外資系サプライヤー次の一手 ボッシュ 

ボッシュ シャシーシステムコントロール事業部 システム開発部門自動運転システム開発部 千葉 久ゼネラル・マネージャー談

ボッシュは2020年代初頭をめどに、自動運転レベル4相当の製品群を揃える。自動運転車も4年前から国内で走行を開始し、日本独自の走行データの収集に注力する。将来の技術開発と並行して、業界で統一された評価制度の構築など、量産を見据えた対応の必要性も訴える。

―自動運転に対応する製品群の投入スケジュールは

「21年に低速のレベル3に対応できる製品群を揃え、20年代初頭にはレベル4を実現するセンサー類の投入を見込む。現在はどのセンサー類がレベル4に適しているかを精査している段階だ」

―運転の主導が人とシステムで切り替わるレベル3は実現が難しいと言われている。スキップしてレベル4の開発に注力する動きもあるが方針は

「レベル3だけが特段難しいという訳ではない。ハンズオフ状態を維持しなければならないレベル2や、システムに操作を一任するレベル4にもそれぞれ難点がある。レベル3は運転の主導の切り替えだけでなく、高速道路などで一定の速度を保ちながら求められる安全要求を満たすことに難しさがある。センサー類のベースの技術はレベル3と4で共有できるため、その技術をマネタイズも含め製品化できるところまで引き上げられるかが要になる」

―今秋から新型のミリ波レーダーの量産を開始する。特徴は

「第5世代として位置付けている。視野角をプラスマイナス60度まで拡大し、前方検知範囲も210㍍まで伸ばした。また、先代の3分の2の大きさまで小型化し、実装しやすい製品とした」

―LiDARについての考え方は

「高度自動運転で求められるLiDARのスペックはかなり高いが、現在、その要求を満たすLiDARはまだ量産されていない。開発コストをペイできるかも課題だ。当社ではLiDARに関しては投入するかを検討している段階で、他のセンサー類でLiDARの役割をカバーする方法も視野に入れている」

―16年に自動運転の専門部門を日本に設置し、自動運転車でのデータの収集を重ねてきた。進捗は

「日本の道路はコンクリートの壁で覆われたトンネルが多く、正確な位置の検知や外界の状況把握が難しい。都市部では二輪車を含め車両の走行量が多いことも課題だ。2階建ての高速道路やETC、料金所など日本独自の道路環境データも収集する必要もある。現在公道での走行を重ねており、日本ならではのデータを蓄積している」

―自動運転の分野で見えてきた課題は

「最も難しいのは評価だ。安全を担保するには、完成した製品が市場に投入できるレベルに達しているかを評価する基準や仕組みが必要になってくる。これは1社だけで作るのは難しい。国や競合他社も含め、検討していく事項だ」

―今後の課題は

「より量産を前提にした開発が必要になってくる。車両のデザイン性に影響を与えないようセンサー類を小型化するほか、コストメリットを持たせる必要もある。また、カメラ類は車線や個別の物体を夜間でもより正確かつスピーディーに認識させることも重要だ。自動車の安全性能評価(JNCAP)への対応に加え、今後新たに出てくるであろう見えていない課題や可能性も想定して動くことも必要になる」

日刊自動車新聞10月9日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

ボッシュ㈱

対象者 自動車業界