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自動車産業インフォメーション

2019年10月12日

自動車リサイクル/行政・企業・団体が情報共有/経産省・環境省が「専門委員会」開催/活動や今後の取り組み

アルミニウムをはじめとする新素材を採用した次世代自動車の増加や中国の廃棄物輸入規制により、リサイクル業界にも変革の波が押し寄せている。

このほど経済産業省・環境省が開催した「産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会自動車リサイクルワーキンググループ 中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会」ではリサイクルに関する行政や企業、団体が、それぞれの取り組みを発表し情報を共有した。

経産省・環境省は自動車リサイクル制度をめぐる各種取組状況について、(1)3Rの推進・質の向上(2)安定的・かつ効率的な自動車リサイクル制度への発展(3)自動車リサイクルの変化への対応と国際展開を説明した。

(1)については環境配慮設計及び再生資源利用の進んだ自動車に対するインセンティブ(リサイクル料金割引)制度構築に向けた取り組みを紹介した。特に実証事業を通し、使用済自動車(ELV)由来の再生プラスチックリサイクルを促進する。

(2)は中国が廃棄物輸入を規制し始めたことから、廃プラスチックの国内処理体制を構築する必要があるとした。優良認定処分業者における廃プラ保管量の上限緩和やリサイクル設備の導入に対する補助事業などで廃プラリサイクルの効率化や高度化を実現する。

(3)では、豊田通商が経産省から受託したタイでのELVリサイクル実証事業に触れた。日本車のシェアが大きい東南アジアでのELV不適切処理などを日本の事業者が解決することで、将来的には現地への参入を促すねらいだ。

自動車メーカーや輸入事業者が払い渡しを受けた特定再資源化預託金等(特預金)から再資源化費用を差し引いた自動車リサイクル収支余剰金の活用結果報告としては、ホンダと日産自動車、スズキがそれぞれの取り組みを発表した。ホンダはリチウムイオン電池の電極からレアメタルを含む正極を回収することで高付加価値なリサイクルを実現する手法を開発した。日産は外部の企業や研究機関とともに取り組む自動車シュレッダーダスト(ASR)の再生利用やアルミニウム・炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、電動ユニットのリサイクル技術開発について発表した。スズキは小型リチウムイオン電池のリユース促進のため、来年度から再利用用途に合わせた試作品の開発と実証を開始する方針を示した。

自動車リサイクル促進センター(JARC、中村崇代表理事)は特預金等を活用した取組み事例として、大規模災害への対応と再資源化等業務対応、情報発信などの拡充に力を入れる。特に大規模災害への対応として今年度は2700万円の予算を当て、自治体への支援を行う。一例として21年度までに自治体への研修を通して被災自動車の管理体制を構築する。災害対応に関して会場からは「風水害が発生した場合、車が土砂まみれになるのでエアバッグの一括作動処理が困難になる。災害の際は解体方法についても具体的な指示を出してほしい」という意見が出た。

日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)は次世代自動車に使われるリチウムイオンやCFRPの適正処理、3R高度化に向けた新冷媒への切り替えや樹脂リサイクル促進への取り組みを紹介した。それぞれの分野でリサイクル技術開発のためのコンソーシアムや、樹脂リサイクル実証事業へのアドバイスを行うワーキンググループを創設し、次世代自動車の普及に向けて研究開発に注力する方針だ。

日刊自動車新聞10月7日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

経済産業省、環境省

対象者 一般,自動車業界