2019年10月9日
特定整備 認証要件案を決定 国交省 電子制御装置を追加
国土交通省は、従来の分解整備の範囲を拡大し、名称を変更した「特定整備」に関連し、新たに追加する作業内容と認証要件案をとりまとめた。対象作業は「電子制御装置整備」と規定し、衝突被害軽減ブレーキなど先進安全技術の校正作業(エーミング、キャリブレーション)に加え、センサーが装着されたフロントバンパーなどの脱着、ガラス交換も対象とした。設備関係では数十㌢㍍~数㍍の範囲で既存の面積要件を上回る広さを求める車種がある一方、点検整備作業場の共用を認める方針を示した。認証要件がまとまったことで、取得に向けた整備業界の動きが活発化する。 このほど開催した「自動車整備技術の高度化検討会」で中間とりまとめ(案)を示した。
新たに特定整備に加わる電子制御装置整備については、車両前方をセンシングするためのカメラ(単眼、複眼)やミリ波レーダー、赤外線レーザーなどの脱着、位置変更の調整、整備、改造に係る作業が対象と定めた。
こうしたセンサー類が装着されたフロントバンパーやグリルの脱着、ガラス交換についても、作業後にECU(電子制御ユニット)の機能調整が必要になることから対象作業に含めることにする。
一方、電子制御装置整備の認証を取得するための人的要件については、2人以上の工員を求めた。
工員のうち少なくとも一人は一級自動車整備士(二輪除く)であること、または一定基準を満たす講習を受講、技術を習得した一級(二輪)・二級自動車整備士、自動車電気装置整備士、自動車車体整備士のいずれかを配置する必要があると定めた。
整備業界の懸案事項だった設備要件については、作業場の要件としてエーミングを行うために平滑で、かつ最低限の広さをもつ「電子制御装置整備作業場」、作業待ちの車両や整備完了車を駐車する「車両置場」の設置を求めた。
日刊自動車新聞10月7日掲載
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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主催者 | 国土交通省 |
対象者 | 自動車業界 |
電子制御装置整備の認証要件、スペース確保が不可欠に 共用、外注は認める方針
特定整備の新たな作業として追加された「電子制御装置整備」。この認証を取得するための設備要件については、既存の面積基準を数十㌢㍍~数㍍程度上回る広さが一部の車種に設けられた。自動車メーカー各社のエーミングに対応する最低限のスペースであり、確保できない場合は認証が取得できないことになる。ただし、今の認証制度と同様に共用を認める方針。国は整備事業者の負担を最小限に抑えながら、電子制御装置整備が広く実施されるための枠組みを示した。
電子制御装置点検整備作業場の基準は別表通り(変更の可能性あり)。例えば、普通自動車(大型)と軽自動車については、分解整備のみを行う場合と比較して、奥行でそれぞれ3㍍、50㌢㍍の拡大が求められるが、天井の高さ要件は課さない。
一方、普通自動車(乗用・小型)については、既存の基準内に収まることから、新たにスペース確保が求められることはない。
電子制御装置点検整備作業場については、分解整備の認証要件である点検作業場と車両整備作業場、指定自動車整備事業の要件として求めている完成検査場と兼用することができる。
スペースが確保できない場合は、電子制御装置点検整備の認証を取得することができない。現実的に認証取得が難しいケースがあることも想定されるため、点検整備場と車両置場については、認証取得事業者と共用することを認める。
この場合、現在の指定整備工場の検査施設の共用要件と同様なものになると想定している。
「外注」も現在の認証制度と同様に認める方針。ただ、ガラス事業者がディーラーや整備工場に出向いて交換作業を行うような場合(構内外注)については、ガラス事業者が認証を取得した整備事業者と外注契約を結ぶことで、認証取得工場の工員としてみなすようにする。
また、構内外注の作業責任、特定整備記録簿への記載は、外注元である認証取得事業者が担うことにする。
工具の要件としては、外部故障診断機(スキャンツール)のほか、水平を確認するための水準器の保有を義務付ける。ターゲットなどの専用ツールは認証要件を定めない。
すべての自動車メーカー、車種に対応した専用ツールを保有するのは困難なことから、入手方法を確認することで認証できるようにする。
民間車検場である指定整備工場については、電子制御装置点検整備の認証を取得した工場でない限り、保安基準適合証は交付できないようにする。ただ、認証取得に関して設けられた4年間の経過措置期間中は、必要な整備作業を行った場合でも適合証を交付することができる。