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2019年10月7日

国交省、大型車の低炭素化に本腰

国土交通省は、2050年をターゲットにした大型車の低炭素化技術の開発計画策定に着手する。パリ協定に基づく政府の長期戦略では、同年までに80%の温室効果ガスの削減を掲げる。

運輸部門の二酸化炭素(CO2)排出量の約4割を占める大型車について、エンジンの改良だけでは野心的な目標達成への貢献が難しい。ICT技術を活用したソフト対策や電動車のユースケースなどを総合的に検討し、50年までに踏むべきステップを練る。来年度には大型車メーカーなども交えた検討会も設置する方針だ。

政府は、今年6月にパリ協定に基づく長期戦略を閣議決定した。50年までに80%の温室効果ガスの削減や今世紀後半のできるだけ早期の脱炭素社会実現などを盛り込んだ。また、経済産業省が自動車メーカーなどと開いた自動車新時代戦略会議では長期ゴールとして、同年までに日本車1台当たりの温室効果ガス8割程度の削減を掲げている。

17年度の運輸部門からのCO2排出量は日本全体の約2割。同部門のうち、トラック・バスといった大型車は約4割で、日本全体の約1割を占めている。50年に80%の温室効果ガス削減目標の達成には大型車の省エネ化が欠かせない。

ただ、大型車は運送事業など商用利用が多く、長距離走行や耐久性、経済性が求められる。乗用車と比べ電動化を進めにくい側面があり、長期的視点で、大型車分野のCO2削減方策の検討がこれまで進んでいなかった。

政府の長期目標策定を受け、20年度から大型車の低炭素化に向けた現状の課題や国内外の産業界の動向などの調査に乗り出す。調査期間は4、5年間を見込む。現状の環境技術を積み上げた際のCO2排出量の削減効果を探る。内燃機関のさらなる技術開発だけでなく、ICT活用のソフト面の対策なども検討する。

50年目標から逆算し、30、40年と各フェーズで取るべきステップや将来的に必要な技術、施策などを整理して、国の方針としてまとめる。来年度には大型車メーカーなどを巻き込んだ低炭素化技術に関する検討会も開く方向で検討を進め、産業界や有識者からのヒアリングも行う考え。

日刊自動車新聞10月4日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

国土交通省

対象者 自動車業界