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2019年10月3日

横浜で大型自動運転シャトルバス 相鉄バスと群馬大が実証実験

相鉄バス(菅谷雅夫社長、横浜市西区)と群馬大学が、大型の自動運転バスを使用した実証実験を横浜市内で実施している。市内で開催中のイベントでシャトルバスとして営業運行する。自動運転の技術自体は「レベル2」(部分的な運転の自動化)だが、大型自動運転バスによる営業運行での実証実験は国内初の試みとなる。

自動運転バスの社会実装に向けて多くの利用者に体験機会を設けて機運を醸成するほか、大型バスへの技術適用に関わる課題やサービス面での検証を行う。

両者は4月に大型バスの自動運転に関する共同研究契約を締結した。「自動運転の技術を乗用車よりも早く公共交通で実現させることが有益」(相鉄バスの菅谷社長)と意見が一致した。今後も継続的な実証実験を重ね、路線バスなどで自動運転「レベル4」(限定領域内での自動運転)の大型自動運転バスの実用化を目指している。

今回の実証実験に使用するバスは、相鉄バスが保有する大型バスを群馬大学が自動運転車に改造した。バス事業者が大型バスの自動運転車を保有するのは国内で初めて。全国で自動運転バスの実証実験が盛んに行われているものの、実証実験用の自動運転バスの数は限られているのが現状。相鉄バスでは希望する時期や場所で実証実験を行うために車両の保有を決めた。

自動運転バスには信号機を認識する全方位カメラや自車位置の把握にレーザーセンサーやGPS(全地球測位システム)アンテナ、緊急自動ブレーキ用のレーザーセンサーなどを搭載する。自動運転と手動運転は、運転席に設置するタッチパネルまたはブレーキペダル付近に取り付けたペダルで操作を切り替えられるようにしている。アクセルとブレーキ、操舵は自動制御だが、安全確認など主体はあくまで人(運転士)が担う。低速走行のため、後続車が詰まった時などの交通を妨げる場合や安全確保に支障が伴う時は手動運転で回避する。実証実験に参加する相鉄バスの運転士は選抜された12人が、群馬大学で専門教育を受けたのちに実際のルートを慣熟走行することで資格を取得した。走行ルートは信号機がない片道900㍍の距離で、時速20㌔㍍以内で走行する。

実証実験では横浜市内で開催中のイベントで運行するシャトルバスの1台を自動運転バスに置き換えている。相鉄バスの菅谷社長は「自動運転の技術や法改正なども重要だが、自動運転バスが共存する環境を認めていただけるようにしたい」と営業運行での実証実験に決めた狙いを説明する。群馬大学の次世代モビリティ社会実装研究センターの小木津武樹副センター長も「全国各地で実証実験を実施することで、自動運転を導入する機運を醸成する」と話した。

実証実験はイベント開催中の9月14日~10月14日までの約1カ月間実施する。午前10時~午後4時の間で1日16往復で運行する。今後の実証実験は「現段階では未定」(相鉄バスの広報)としている。

日刊自動車新聞9月30日掲載

開催日 2019年9月14日
開催終了日 2019年10月14日
カテゴリー 社会貢献
主催者

相鉄バス、群馬大学

開催地 横浜市
対象者 一般,自動車業界
リンクサイト

群馬大学ニュースリリース http://www.gunma-u.ac.jp/information/57506