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2019年9月30日

水素閣僚会合、10年で燃料電池車1千万台目標

35カ国・地域の水素関連担当相らが参加し第2回「水素閣僚会議」が25日に都内で開かれ、菅原一秀経済産業相が議長声明として「グローバル・アクション・アジェンダ」を発表した。水素社会の実現に向けた各国の行動指針として、今後10年間に全世界で水素ステーション(ST)1万カ所の整備、燃料電池車(FCV)や燃料電池(FC)フォークリフトなどの燃料電池モビリティを1千万台導入する目標を打ち出した。

同会議は、水素をメインテーマにした世界初の関係閣僚会議として2018年に初会合を開催。21カ国・地域が参加する中、技術開発や基準・規制調和の必要性、水素供給網の構築などの施策の方向性をまとめた「東京宣言」を採択し、発信した。

第2回の開催となった今回は、オーストラリアやオマーン、パキスタン、フィリピンなどのエネルギー・産業担当大臣をはじめ、米国や英国からの政府代表者、国際エネルギー機関(IEA)などの国際機関の代表者が参加した。

今回の会議では、参加各国の同意の下、菅原経産相が議長声明として、同アジェンダを発表した。東京宣言の具体的なアクションとしてまとめたもので、運輸分野での水素の利活用、水素サプライチェーン、水素需要の調査などを柱に据える。

水素利活用の分野として有力視する運輸部門では野心的な目標を掲げた。現状、全世界のFCVの導入台数は1万数千台、FCフォークリフトは2万5千台、水素STの整備数は数百カ所と見られる。目標達成の拘束力はないものの、システムの低コスト化に必要な技術開発やインフラ整備、規制・基準調和を各国連携で進め、燃料電池システムの普及拡大を狙う。

25日の会議の冒頭で、菅原経産相は「水素は運輸、産業、電力などさまざまな分野で利用でき、温暖化対策の切り札となる」とした上で「本日の会議の成果が水素社会の実現に向けた取り組みの重要な一歩となることを強く期待する」と述べた。

日本は今年3月に「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を改訂し、25年までにFCVとハイブリッド車の価格差を70万円に圧縮することや水素STの運営費を現状の半分以下に抑えることなどをターゲットに設定した。この目標を達成するために燃料電池の低コスト化など3分野10項目を特定した技術開発戦略もまとめた。日本の取り組みをアピールするとともに海外の動きとも歩調を合わせていく考えだ。

日刊自動車新聞9月26日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

都内のホテルで行われた 水素閣僚会議