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2019年9月27日

宮城県女川町 高台集落の移動手段づくり トヨタの歩行領域EV使い実証実験 効率的な運用方法を探る

宮城県女川町(須田善明町長)は18日、トヨタ自動車が開発した「歩行領域EV(電気自動車)」3台を活用した「スマートモビリティ社会システム実証プロジェクト」を開始した。

トヨタが一般の住民に無償で貸し出す実証実験は、全国で初めて。座り乗りタイプを活用し、東日本大震災後に高台に整備した女川町宮ヶ崎地区の住民を対象に、高台住宅地から女川駅周辺部までの坂道の上り下りの移動に活用される。町では、電動モビリティの効率的な運用方法などを実証し、高台集落も気軽に移動できる移動手段の仕組みづくりを検討していく。 スマートモビリティ社会システム実証プロジェクトは、女川町と南三陸町、宮城県とトヨタの4者により、2018年12月26日に協定が締結された。

女川町歩行領域EV実証実験は9月18日から10月15日までの約1カ月間で、宮ヶ崎地域の住民3組に1週間無償で貸し出し、計12組に利用してもらう。移動には歩道を利用し、時速4~6㌔㍍で走行する。実証場所となる高台住宅地から女川駅周辺は、距離にして片道約2㌔㍍の範囲内だ。駅周辺は商業施設や銀行などがあるが、移動には坂道の上り下りが必要となるため、歩行領域EVが重要な役割を担うことになる。

実証事業で町は、住民が利用する場所や目的、時間などを集約して電動モビリティの移動手段として可能性を検証する。住民は、使い勝手や要望をトヨタに伝えて、歩行領域EVの改良に結びつける。

トヨタや宮城県に加えて、トヨタレンタリース仙台が、1週間ごとの利用交代に伴う世帯間の車両移動やバッテリー充電切れなどの対応で支援する。

18日にスタートした実証事業では、地域住民3組に歩行領域EVが貸し出された。利用者で宮ヶ崎地区の区長を務める齋藤俊美さん(81)は「車と違い、風景を楽しみながら走行できる。上り坂も力があり、下り坂も速度を調整してくれるので乗りやすい。利用者は外出する楽しみが出てくると思うし、これから生活必需品となるだろう」と感想を話した。女川町役場企画課の木村明宏主幹兼係長は「町民バスもあるが、利便性が高いとは言えない。皆さん楽しそうに乗っておられたので、外出の機会が増えると良い」と話していた。

日刊自動車新聞9月24日掲載

開催日 2019年9月18日
開催終了日 2019年10月15日
カテゴリー 交通安全,社会貢献
主催者

宮城県女川町

開催地 女川町(宮城県)
対象者 一般,自動車業界