2019年9月21日
新型カローラ上級化で価格アップ トヨタ、性能高め若返り
トヨタ自動車は、17日発売した新型「カローラ(セダン)」のエントリー価格(消費税別、以下同)を一気に176万円まで引き上げた。グレード構成を上級シフトさせたことが主な理由だが、旧型比で40万円近く上昇した計算だ。低重心化による走行性能の高さやコネクテッド技術などをPRし、70歳弱まで上昇した顧客年齢層の若返りを図る。
12代目となる新型カローラは、パワートレーンを1・8㍑ガソリン、スポーツ志向の1・2㍑ターボ、THS(トヨタハイブリッドシステム)Ⅱの3構成とし、先代でラインアップしていた1・3㍑、1・5㍑エンジン車を廃止した。この結果、最低価格は1・8㍑にCVT(無段変速機)を組み合わせる「G―X」の176万円となり、発売時132・9万円、一部改良時137・5万円だった先代モデル(1・3㍑+CVT)と比べて40万円近く上がった計算になる。先代で半数近くを占めた法人需要は旧型車の併売で手当てする方針だ。 53年前に登場した初代モデル以降、カローラは手頃な価格で日本のモータリゼーション(自動車の大衆化)をけん引してきた。しかし、近年は「ヴィッツ」や「フィット」といったコンパクトカーや軽自動車がエントリーカーの主役となり、「サニー」「シビック」といったカローラの競合もエントリーカー市場から退場していった。
ロングセラーを続けるカローラだが、毎年のように厳しくなる安全・環境規制や市場ニーズに合わせる必要がある。今やSRSエアバッグは7個に増え、予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」やディスプレイオーディオを全車に標準装備する。エントリー価格は上昇したものの、トヨタ・ニューグローバル・アーキテクチャ(TNGA)効果もあり、吉田守孝副社長は「車格を1ランク以上上げ、数々の先進技術を標準装備しながらほぼ先代と同等レベルを維持できた」と胸を張る。
先行発売した「カローラスポーツ」ではトヨタ車以外からの乗り替えも目立つという。国内販売事業本部の長田准副本部長は「子育てを終えたミニバンユーザーのほか、アクアなどコンパクトカーユーザーからの買い替えにも期待している」と幅広い新規顧客を取り込みたい考え。トヨタの目論見通り、大幅に向上させた車格と思い切った価格設定が日本のユーザーに受け入れられるか注目だ。
日刊自動車新聞9月18日掲載
開催日 | 2019年9月17日 |
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カテゴリー | 展示会・講演会 |
主催者 | トヨタ自動車㈱ |
対象者 | 大学・専門学校,一般,自動車業界 |
リンクサイト | トヨタラインナップ |
トヨタ「カローラ/カローラツーリング」 日本仕様のボディー開発 道幅や狭い駐車場に対応
トヨタ自動車は17日発売した新型「カローラ/カローラツーリング」で日本専用のボディーを開発した。道幅や駐車場が狭い日本の道路環境に対応させるのが狙いだ。グローバルモデルであるカローラのセダンとワゴンともにボディーの複数の部位を日本仕様に変更して開発した。グローバルで共通化が図られる中、発売から50年以上が経過したベストセラーカーでは日本に合わせた開発が行われた。 トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)の基づく共通プラットフォームを採用した新型カローラ。欧州モデルのワゴンタイプの全幅は1790㍉㍍で、国内モデルでは1745㍉㍍まで縮めた。国内専用ボディーは、国内で大ヒットした3代目「プリウス」の全幅1745㍉㍍を目標に設計を進め、それを実現させた。
ドアミラーを上部に配置して内側に寄せることで欧州モデルよりも全幅を狭め、ドアミラーを格納した状態の全幅は従来型と比べてプラス5㍉㍍に抑えた。また、ドアに内蔵するインパクトビームは径を小さくし、板厚を増すことで強度を変えないことでレイアウトの自由度を増した。狭い駐車場での乗降性を考慮し、ドアトリムの厚さも従来型に比べて16㍉㍍薄くした。全幅が増した部分をドアトリムの薄肉化でカバーし、乗降スペースは従来型と同等の広さを確保している。
また、トヨタの国内モデルとして初めてエアクリーンモニターを導入した。車内の空気の流れをセンシングし、エアコンパネルで空気の汚れを6段階で表示する。スイッチを押すと清浄機能がスタートするほか、汚れ具合に応じて風量を調整する。