2019年9月16日
欧州中心に自動車用途で需要、粘接着・封止材の世界市場、富士経済調査
富士経済(清口正夫社長、東京都中央区)はこのほど、強度や異種接合性などが求められて特殊化が進展している粘接着・封止材の世界市場を調査し、展望をまとめた。この調査では、自動車用途14品目、エレクトロニクス用途14品目、その他用途8品目の特殊粘接着・封止材計36品目の市場や、関連アプリケーションとして自動車、半導体の市場を調査。特殊粘接着・封止材の世界市場は2024年に139億6460万㌦で18年比31・6%増と大幅増を見込む。特に、自動車用途で炭素繊維複合材料(CFRP)用接着剤の需要が欧州を中心に高まるとみていることから、24年には世界市場で7900万㌦(同58・0%増)規模を見込む。
18年の特殊粘接着・封止材の世界市場は106億740万㌦(17年比4・1%増)だった。高性能化や高付加価値化への需要から、自動車分野やエレクトロニクス分野、その他分野向けそれぞれが今後も伸び続けると予測する。
中でも自動車分野では、車載ディスプレーの大型化や搭載率の上昇に伴い、車載ディスプレー用接着剤(OCA・OCR)が伸びるとみている。また、欧州を中心にCFRP製自動車部品の需要が高まっており、18年に全体で5千万㌦だった市場は24年には7900万㌦を見込む。このうち日本市場は18年に290万㌦で、24年では410万㌦(18年比41・4%増)と予測する。欧州や北米の自動車メーカーはCFRP製自動車部品の採用に積極的だが、日系自動車メーカーがCFRP製自動車部品の採用に慎重であることから、需要は世界市場ほど増加していない。
このほか、エレクトロニクス分野では、家電、自動車、ロボットなどで半導体の需要が高まっているため、パワーデバイス用封止材が伸びている。また、スマートフォン(スマホ)の生産拡大に加えて狭額縁化によって、狭額縁用接着剤の市場が拡大。大手スマホメーカーが狭額縁用接着剤の採用を積極的に進め、その他のメーカーも追随する形となっている。全体で18年は2700万㌦、24年予測では5970万㌦(18年実績の2・2倍)に拡大するとみている。狭額縁用接着剤は治具固定に時間がかかるが、両面テープと比較して狭額縁に対応できるため、今後のさらなる拡大を見込む。
今後の市場については、粘接着・封止材の特殊化や高性能化、高付加価値化への需要がさらに進むとして、全体の市場拡大を見込んでいる。
日刊自動車新聞9月11日掲載
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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主催者 | 株式会社富士経済 |
対象者 | 自動車業界 |
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