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2019年9月7日

女性高齢ドライバー急増 65歳以上の免許保有者10年で倍増

65歳以上の女性高齢ドライバーが急増している。内閣府がまとめた2019年版交通安全白書によると、18年12月末時点で運転免許を持つ高齢女性は、716万6千人で10年前に比べて約2倍に増加した。運転免許適齢人口に占める免許保有率も22%から36%へ14㌽増え、同期間の高齢男性の3㌽増を大きく上回った。

過去10年で65歳以上の免許保有率は43%から52%に増加したが、その相当数を女性が押し上げた格好だ。これから高齢期を迎える女性ドライバーはさらに増加することから、今後は女性視点の安全運転対策なども求められそうだ。 昨年末の運転免許保有者は8231万4924人で09年末に比べて150万2979人増えた。免許適齢人口に占める割合は74・9%で10年前より1・0㌽増加した。性別の保有率は男性が84・8%で1・5㌽減少する一方、女性は65・7%と3・3㌽増加した。

男性の保有率が減ったのは16歳から49歳までの幅広い年代で免許保有率が低下したため。特に16~19歳が6・1㌽減、20~24歳が3・8㌽減、25~29歳が4・9㌽減と、20歳代以下の若い世代の保有率がそのほかの世代以上に減少したことが響いた。若者の免許離れが進んだことで男性の免許保有者数は4499万4702人と1・2%減少した。

一方、女性の免許保有者は3732万222人で10年前より5・8%増加した。世代別では、16~19歳が3・2㌽減、20~24歳が2・8㌽減、25~29歳が4・8㌽減と男性と同様に若者世代の保有率が減少する傾向にあるが、男性との違いは50歳代以上の保有率が急激に高まっていることだ。

10年前と比較すると、50~54歳は7・8㌽増、55~59歳は13・1㌽増、60~64歳は14・1㌽増、65~69歳は19・8㌽増、70~74歳は24・0㌽増と軒並み上昇している。これは60~70年代のモータリゼーション拡大期に運転免許を取得した女性が60歳代前後の年齢に差し掛かっていることによるもの。こうした傾向は今後さらに広がることが確実だ。

女性の世代別の免許保有率は、免許取得者の男女差がなくなった80~90年代に免許を取った世代が大きなボリュームを占めている。なかでも45~49歳の取得率は91・8%で最も高い。この世代を挟んで50~54歳、35~44歳の免許保有率は9割を超え、35~59歳の免許保有者数は全保有者数の50・9%と半分を超えている。

このボリュームゾーンが65歳以上を迎える10~20年後は、今以上に女性ドライバーの高齢化が進展する。現状で65歳以上の免許保有者は、男性が10年前より1・3倍の1146万8376人であるのに対し、女性は1・94倍の716万6489人と急増している。こうした状況に加えて、免許保有率が高い30歳代後半から50歳代の女性ドライバーが高齢者の仲間入りをしてくる時代がくれば、男性を主体に考えられがちだった日本の高齢者向けの安全運転対策が変わってくることにもなる。

少子化によって若い世代の免許取得者の減少が避けられない一方で、高齢者の免許保有率は今後も増加が続く。昨年末の時点で65歳以上の高齢者の免許保有率は10年前より9・4㌽増の52・4%と50%台を超えた。これからは70歳代、80歳代の免許保有者が確実に増えていく。免許保有者のすべてがクルマを運転するわけではないとしても、女性の高齢ドライバーが増え続けることを前提とした効果的でバランスのとれた安全運転施策の構築が必要になってくるだろう。

日刊自動車新聞9月4日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

内閣府

対象者 一般,自動車業界