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2019年8月31日

自動運転レベル「2.5」 ハンズオフ、走り出す BMWに続き日産も来月

限定条件下で手放し運転を可能とする「ハンズオフ」機能が国内で走り出す。BMWが今月末から本格的に国内導入し、9月には日産自動車が「スカイライン」に初採用する。ハンズオフ機能はドライバーが前方に注視していることを条件に、ステアリングから手を放した状態で自動走行する。米自動車技術会(SAE)が定める自動運転「レベル2」(部分運転自動化)の範囲内でありながら、「レベル3」(条件付き運転自動化)に近づけた〝レベル2・5〟相当の技術となる。

従来の運転支援システムでは、ドライバーがステアリングから手を放すと一定時間で機能が解除されるよう設定されていた。BMWやスカイラインが採用するハンズオフは、ドライバーが前方を注視していればステアリングを握らなくても機能が維持される。条件はかなり限られるが、ドライバーがハンドルやペダルを操作しない自動走行が高速道路上で実現する。

BMWはメーターパネルにカメラを搭載し、ドライバーが前方を注視しているかを確認する。ハンズオフは高速道路上で渋滞時、時速60㌔㍍以下の低速でのみ作動。3眼カメラと毎秒2兆5千億回の演算能力を持つ「EyeQ4」が高度な危険予測を行うことでハンズオフ機能を実現する。量販車種の「3シリーズ」に標準搭載することで、先進運転支援技術の普及を目指す。

日産スカイラインは、BMW車よりも高度なハンズオフ機能を実装している。3D高精度地図データ(HDマップ)と360度センシング技術による「プロパイロット2・0」によって、渋滞時に限らず高速道路の法定速度内でハンズオフが利用できる。ただ、プロパイロット2・0搭載車は従来モデルより約50万円高となり、年間2万2千円のコネクテッド利用料も必要となる。

アダプティブクルーズコントロールなどのペダルから足を離す「フットオフ」に対し、ハンズオフはレベル2内でのより高度な運転支援機能となる。運転の主体がドライバーからシステムに代わるレベル3ではドライバーが周辺監視を行なう必要のない「アイズオフ」が欠かせないが、機能の実現には課題は多い。当面はレベル2枠内での運転支援技術高度化が進みそうだ。

日刊自動車新聞8月28日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界