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2019年8月31日

経産省、超小型モビリティ購入に補助金

経済産業省は、超小型モビリティや電動車いすなど多様なモビリティの普及に必要な施策の検討を始めた。軽自動車よりも小さい超小型モビリティは小回りが利き低速で走行するため、高齢者が安全に移動できる新たな手段の一つとなり得る。ただ、市販化されている製品の多くは20万円以上という価格がネックとなり、四輪車より認知度も低い。経産省は2020年度予算の概算要求に購入補助の費用を計上する方針。予算措置に加え、制度整備や社会的受容性の向上など普及を後押しする方策を検討する。

経産省は27日、自治体や自動車メーカー、有識者などからなる「多様なモビリティ普及推進会議」の初会合を開いた。メーカーや自治体が取り組みを紹介。トヨタ自動車は、目的やシーンに合った移動手段を提供するために超小型電気自動車(EV)や立ち乗りタイプの製品を開発中で「小型EVはビジネスチャンスがある」と見る。

議論の対象となるのは、1~2人乗りで軽自動車よりも小さい規格の移動体。トヨタ車体の「コムス」や電動車いす、電動キックボード、電動アシスト自転車など多岐に渡る。

超小型モビリティの最高速度は時速60~80㌔㍍程度と軽自動車よりも低速で走るため、誤操作で人や車にぶつかった時に相手に与えるダメージが小さい。また、7月に経産省で開いた試乗会で、参加者からは「小回りが利いて運転しやすい」といった声も挙がった。

ただ、普及にはコスト面が課題となる。市販化された製品のうち、電動車いすは45万円、高齢者用四輪車は36万8千円、電動アシスト自転車で20万円以上と購入のハードルが高い。

同会議は、他の交通手段との役割分担のあり方やコスト低減の方策、安全性確保などを論点に、年内に計4回を開く予定。新モビリティのビジネスの可能性も探る。2回目以降はモビリティのカテゴリーごとの普及課題を議論し、年内に普及に必要なアクションプランを整理する。

27日の初会合に出席した世耕弘成経産相は「価格や交通ルールなど解決すべき課題に全力で取り組む。普及に必要なアクションは関係省庁やメーカーなど官民が知恵を出して技術開発や社会受容性向上などあらゆる面で前に進めていきたい」と意欲を語った。

経産省は、20年度から現在のEVの購入補助金制度の枠組みを使い超小型モビリティの購入補助を行う方針。今後の議論を通じて、どういったタイプのモビリティを対象とするかを詰めていく考えだ。

27日の初会合の様子。中央には電動車いすや電動キックボードなどが並ぶ

日刊自動車新聞8月28日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

経済産業省

対象者 自動車業界