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2018年11月14日

国交省、車検証をICカードに 22年度中に切り替え

国土交通省は、2022年度中に自動車検査証(車検証)を電子化し、クレジットカードや運転免許証などと同サイズのICチップ付カードに変更する方針だ。

22年度以降の新車に一斉導入した後、使用過程車も継続検査などのタイミングで順次、切り替える。低迷する「自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)」をテコ入れする狙いがある。また、官民で車検カードの情報を活用していく考えだ。

車検カードの券面には使用者の氏名や自動車登録番号、車台番号、諸元などを記載する。ICチップにはこれらに加え、有効期間や所有者の氏名・住所、使用者の住所、使用の本拠地などの情報を記録する。記録の閲覧は読取端末に車検カードをかざし、カードに記載されたセキュリティコードを入力して行う。カードや端末のコストを抑えるため、マイナンバーカードや免許証などと共通の規格を採用する考えだ。管理制度が異なる軽自動車の車検証も同時期に電子化したい考え。

国交省はもともと「車検証の交付は公権力の行使に当たる」として電子化に否定的だった。重い腰を上げたのはOSSの利用率を高めるためだ。OSSは05年に一部の地域と手続きからスタート。昨年4月から対象手続きや地域が一気に広がったが、とくに全手続きの4割を占める継続検査の利用が広がらない。国交省は21年度末までに登録車の新車登録で8割、継続検査や中間登録で最大7割の手続きをOSSに移行させたい考えで、交付作業が残る車検証を電子化することでディーラーや整備工場などの手間をさらに減らす。

具体的には、OSS経由で継続検査を済ませた場合、オンラインで更新情報を整備工場に送信し、車検カードの内容を書き換える。有効期間を示す検査標章(ステッカー)は整備工場などが印刷して車両に貼付する。情報の記録事務は指定整備事業者など一定の要件を満たした事業者に限定し、近隣の事業者への委託や設備機器の共用は認めない。ステッカーの台紙にも偽造防止対策を施す方針だ。

国交省は今後、車検カードの導入に向けて不正アクセスや情報漏えい、偽造、スキミングなどへの対策を詰める。合わせて「車検切れの車両はエンジンが始動しない」など、官民による車検カードの活用策についても検討していく考えだ。同省によると、オランダやスロバキア、オーストリアなどでは、日本の車検証に相当する証明書をすでに電子化している。

日刊自動車新聞11月14日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

国土交通省

対象者 自動車業界