2025年5月27日
政府の「トランプ関税」相談窓口、中小企業からの相談が3000件超 長期化への危機感も
経済産業省は、米国の関税措置に関する中小企業からの問い合わせが、これまでに約3100件に達したことを26日までに明らかにした。自動車産業からは、生産縮小や受注減による業績悪化を危惧する声が多く寄せられている。すでに関税影響が出始めているとの声もあった。
自動車生産への影響も一部で出始めた(イメージ)
政府は4月3日、日本貿易振興機構(JETRO)や日本政策金融金庫など全国約1千カ所に〝トランプ関税〟に関する相談窓口を設置した。この窓口に、22日時点で3098件の相談が寄せられた。
自動車関連の中小企業からは相談に伴い「取引先メーカーから4~6月微減、7月以降は2割の部品減産要請があった」「自動車内装資材の受注が15%程度、減少した」「取引先のエンジンメーカーからは通常3カ月先まで受注が計画されているが、現在は当月分しか決まっていない」「取引先のティア1(一次部品メーカー)から、エアコン部品は5月分を生産縮小、ハンドル部品は納期を6月から9月に延期すると通達があった」「米国の子会社に輸出し、現地で部品加工を行っているため、鉄鋼アルミ追加関税の影響を米国子会社が負担している」などのコメントが寄せられた。
一部では「生産計画に変更はなく、特に影響は出ていない」との声もあったが、すでに「関税の影響が生じている」と考えている企業が多かった。また、今後の価格転嫁への影響や発注量の大幅減など、影響が長期化するのでは、と危機感を抱く企業も少なくなかった。
完成車メーカーや大手部品メーカーの中には、関税措置の動向や細目が不透明なため、2025年度業績見通しの開示を見送った企業も多い。足元で表面化しつつある関税影響がどこまで広がるかは依然として未知数だ。
日刊自動車新聞5月27日掲載