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ACTIVITIES会議所の活動

意見書・要望書

2014年10月9日

「平成27年度 税制改正に関する要望書」を取りまとめる

自動車関係諸税の簡素化・軽減の実現に向け
車体課税と燃料課税の抜本的見直しを要望
日本自動車会議所

日本自動車会議所はこのほど、「平成27年度 税制改正に関する要望書」(以下、要望書)を取りまとめ、与野党の国会議員をはじめ、経済産業省、国土交通省、環境省、総務省の4省に提出・説明した。

要望書では、①複雑で過重な自動車関係諸税の簡素化・負担軽減、②自動車取得税廃止に伴う財源確保のための自動車関係諸税(車体・燃料課税)の増税反対、③福祉車両の仕入れに係る消費税の取り扱いに関する見直し、④営業用自動車の特例措置の維持、⑤中古車に対する消費税の特別措置に関する要望、⑥経済の活性化、国内における投資や雇用の維持・拡大に向けた税制措置(法人実効税率の引き下げ、中小企業法人税率の引き下げなど)――を重点要望事項として取り上げた。その中でも、最重点要望として筆頭に掲げたのは、これまで一貫して政府・与党に強く要望してきた「複雑で過重な自動車関係諸税の簡素化・負担軽減」。そして、「車体課税の抜本的な見直し」と「燃料課税の抜本的な見直し」を要望の二本柱とし、車体課税については、①自動車取得税、②自動車重量税、③自動車税、④軽自動車税の4税について、それぞれ具体的に要望している。

まず、自動車取得税については、「平成26年度税制改正大綱」の決定どおり、「平成27年10月に予定されている消費税率10%への引き上げ時に確実に廃止すべき」と強く要望。また、消費税率引き上げによる市場への影響の緩和や、環境性能に優れた自動車の普及・促進のため、「自動車取得税が廃止されるまでエコカー減税を延長すべき」とした。

自動車重量税については、道路特定財源の一般財源化により課税根拠を喪失しているうえ、保有時に重量税と自動車税・軽自動車税が二重に課せられていることから、「不合理・不公平な自動車重量税は将来的に廃止されるべき」であるとし、特に「『当分の間税率』(旧暫定税率)については速やかに廃止すべき」と要望した。また、保有時の税負担軽減の観点から、「エコカー減税(重量税)の拡充・延長」も求めた。

自動車税については、「廃止される自動車取得税の付け替えとなる環境性能課税には反対」と強く訴えた。というのも、消費税率10%への引き上げ時に導入するとされている環境性能課税について、「平成26年度税制改正大綱」では、「自動車税の取得時の課税として実施する」、「課税標準は取得価格を基本」、「税率は0~3%の間で変動する仕組みとする」などとしており、このままの導入では取得税の付け替えとなり、取得税廃止の決定を無意味にするものとなるからだ。また、「国際的にみて適正な水準である現行の軽自動車の負担をベースとする税体系に見直す」よう要望したほか、環境性能に優れた自動車の普及・促進に貢献してきたグリーン化特例の実績を踏まえ、「より一層の軽減措置」(拡充)を求めた。

軽自動車税については、車齢13年超の軽四輪車等に対する重課(平成28年度から適用)が決定しており、あわせて導入されることになっている軽課について、「重課に見合う減税規模とすること」と要望。また、増税が決定している二輪車の軽自動車税についても、既販車まで増税対象とすることは数多くのユーザーに過重な税負担を強いることになるため、「平成27年度以降に新規取得する新車のみを対象とすべき」とした。

燃料課税については、昨年も強く要望している「ガソリン税、軽油引取税に上乗せされたままの『当分の間税率』(旧暫定税率)の速やかな廃止」と「ガソリン税のTax on Taxの速やかな解消」を強く訴えた。「当分の間税率」は道路特定財源の一般財源化により課税根拠を喪失しており、またガソリン税に消費税が掛けられている「Tax on Tax」は、税に税が課せられるという極めて不合理な仕組みであり、それぞれ速やかに廃止・解消すべきとした。

次に重点要望事項として取り上げたのは、「自動車取得税廃止に伴う財源確保のための自動車関係諸税(車体・燃料課税)の増税反対」。自動車関係諸税が、財源確保の標的にされやすいことから、増税や安易な新税創設等には「断固反対」との立場を明確にした。

続いて、消費税率引き上げによる影響が大きい「福祉車両の仕入れに係る消費税の取り扱いに関する見直し」を要望。福祉装備を装着した福祉車両の仕入れ段階で負担する消費税について、仕入税額控除ができず、またユーザーへの転嫁も難しいことから、ベース車両メーカーや販売店などに大きな負担が生じている。さらに、福祉装備が装着された時点で非課税扱いとなる福祉車両の特性を利用した、健常者による不正購入問題も指摘されている。このため、「非課税範囲の適正化とともにユーザーへの支援措置を講じるなど所要の見直しを図るべき」と求めた。

次に取り上げたのは、「営業用自動車の特例措置の維持」。昨年、総務省の「自動車関係諸税のあり方に関する検討会」が、営業用自動車の自動車税の特例措置(軽減措置)を見直す検討を始めたが、トラックやバス、タクシーなどの運送・輸送事業者は非常に厳しい経営環境の中、わが国の経済活動を支える物流や公共輸送の一翼を担っていることから、「営業用自動車の特例措置は維持すべき」と要望した。

続く「中古車に対する消費税の特別措置に関する要望」は、昨年も重点要望事項として取り上げており、「消費税率の引き上げに伴い複数税率が導入され、その結果、インボイスが義務付けられた場合でも、消費者から仕入れた中古車については仕入税額控除を可能とすべき」と要望した。この特別措置がない場合、インボイスを発行できない消費者から仕入れた中古車については仕入税額控除ができなくなるが、中古車を購入する消費者に消費税を全額転嫁すれば中古車価格は高騰し、個人間取引が増加することが懸念されている。その結果、中古車販売店への経済的打撃や中古車市場の崩壊の恐れだけでなく、整備不良の中古車が大量に出回る懸念なども指摘されているため、仕入税額控除を可能とするよう引き続き求めた。

最後に、日本企業は経済のグローバル化や新興国の台頭により、「熾烈な国際競争にさらされている」として、「経済の活性化、国内における投資や雇用の維持・拡大に向けた税制措置」を要望。具体的には、①法人実効税率の引き下げ、②研究開発税制の拡充、③償却資産課税の抜本的見直し、④中小企業法人税率の引き下げ、⑤税法上の中小企業定義の見直し――という5つの要望事項を掲げ、「国内市場活性化と国際競争力を強化し、それに伴う国内生産と雇用を維持するための、政府による積極的な支援策」を要望した。

なお、当会議所では、要望書を取りまとめるにあたり、9月11日に税制部会を開催。同部会で出された、委員団体などの要望や意見を踏まえて事務局案を取りまとめ、9月26日に開催した第1回税制委員会(委員長=古谷俊男自販連法規・税制委員長、東京トヨペット社長)で審議した。審議の結果、原案どおりに承認され、要望書が取りまとめられた。

◇要望書の全文はこちらから