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2019年3月20日

外国人労働者受け入れ支援活発化 戦力化へ来日後の生活やともに働く社員もサポート

深刻な人手不足の解消に向けて、自動車整備をはじめ様々な業種が外国人労働者の雇用拡大に取り組んでいる。厚生労働省の「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」によると、2018年10月末現在、外国人労働者数は前年同期比14・2%増の146万463人となり、過去最高を更新した。こうした中、新たな在留資格「特定技能1号・2号」による受け入れの開始が4月に迫ってきた。その対応に向けて、外国人人材と共に働くための職場づくりや、生活面などを含むサポート体制の構築を支援する動きが活発化している。

◆海外の反応は
人材派遣のパソナグループでは、来月から外国人人材の受け入れから定着までをワンストップで支援する「外国籍人材定着支援サービス」を開始する予定だ。受け入れに伴う在留資格の取得手続きから来日後の生活までをサポートする。合わせて、受け入れ側企業の社員向けに、人材育成プログラムや多言語の相談窓口などを用意する。外国人人材に必要な対応をワンストップで行える体制を提供することで、人材の定着や即戦力としての活躍に寄与したいという。
同社は現地国籍の外国人を対象に「新たな在留資格制度に関するアジア諸国での意識調査」を実施した。昨年11月にインド・インドネシア・フィリピン・ベトナムの4カ国で行ったインターネットによるアンケート調査で、857人から回答を得た。
これによると、新在留資格制度を利用し日本で働くことに「非常に興味がある」と答えたのが74%、「どちらかというと興味がある」という人が22%となり、関心度の高さがうかがえた。また、日本での就労希望期間については「3年未満」の回答が10%、「3~5年未満」と「5~10年未満」はそれぞれ34%となり、在留可能な期間の上限を見据えた上で、スキルアップなどを考えていることが分かった。

◆整備業は5番目
さらに「特定技能1号・2号」の対象となる14業種のうち、就労を希望する業種は「食料品製造業」が26・9%で最も多く、次いで「産業機械製造」の20・1%、「電気・電子機器関連産業」の18・8%だった。「自動車整備業」は18・6%で5番目に多かった。
一方、回答者のうち女性が9割を占めたフィリピンでは「ビルクリーニング(45・3%)」「食料品製造業(38・5%)」が多く、希望業種に男女差があることが垣間見える。外国人人材がどのような目的意識を持って来日するのかを見極め、受け入れ側には、それらに応えられるような土台づくりが求められる。
厚生労働省によると、自動車業界では整備業で働く外国人人材の数が1849人(18年10月末)だった。また、外国人技能実習生の受け入れで先行した農業分野では、17年に6千66人が就労した。このように就労数が増加し続ける中、業種を問わず一番の課題となったのが、勤務と学習を両立してもらえる環境づくりだ。
日本語能力試験の学習などを支援しているアテイン(本多成人社長、東京都千代田区)は、今月下旬から外国人農業技能実習生の教育用タブレット端末のレンタルを始める。貸し出すタブレットには独自開発した教材がインストールされており、写真や動画を使いながら野菜や農機具の名前、挨拶や危険な作業への注意事項などを習得できるように工夫した。日々の業務をこなしながら効率的かつ費用負担を抑えて学ぶことが可能なコンテンツであり「日本で着実に増えた外国人人材の教育という課題の解決に寄与できる」(同社担当者)と自負している。

今後は「自動車整備業など他業種においても、要望があれば開発したい」(同)としており、外国人人材のサポートツールとしての展開が注目される。
少子高齢化にともなう人材不足が心配される中、外国人人材には大きな期待が寄せられている。その一方で 企業には外国人に仕事や生活に対する意識やカルチャーの違いがあることを理解した上で、労働環境を整備するなど、新しい対応が求められている。こうした対応を柔軟にこなすセンスと行動力のある企業が、貴重な外国人人材の力を生かしていくことになる。

日刊自動車新聞3月16日掲載

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