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2019年3月8日

JFEスチール、軽量、電動化対応の次世代製品 衝突安全性能重点に提案

JFEスチールは、車両の軽量化・電動化に対応した次世代製品開発において、衝突安全性能に重点を置いた提案活動を積極化させる。2017年9月にスチール研究所福山地区(広島県福山市)に同社で初めて「JFE自動車衝突シミュレータ」を導入した。今後、1470メガパスカル級の超高張力鋼板の採用拡大を目指す同社は、このシミュレータを活用することで、自動車メーカー向けに衝突安全性能を重視した提案力向上を目指す。

同社の研究開発拠点であるスチール研究所は、国内各製造拠点に隣接して全国に6カ所設置する。自動車向け研究開発は薄板、薄板加工技術、表面処理の各研究部で行い、千葉地区(千葉市中央区)と福山地区を重点地区とする。最多の研究員を配置する福山地区は、次世代プロジェクト開発の中核拠点としての位置づけだ。同社は、自動車関連部品向け先行開発における衝突性能評価能力向上を目的に、福山地区に自動車衝突シミュレータを導入した。
今後、自動車の保護関連部品向けなどを中心に、冷間プレスによる1470メガパスカル 級の鉄板の採用拡大を目指す。材料メーカーとして、車体性能解析による設計支援や構造提案、さらには車体最適設計支援にまで踏み込んだ提案活動を強化する同社は、シミュレータの活用で、衝突時の材料変形データを各種計算機に落とし込み、材料開発や、部品設計需要への対応力を高める。
乗員空間を守る骨格などについては高強度の材料を適用する一方で、衝突時に衝撃を吸収してつぶれるキャビン前後の車体骨格向け材料については、マルチマテリアルも視野に入れて、骨格のつぶれ方の制御にまで踏み込んだ研究開発を進めている。
スチール研究所所長を務める同社の瀬戸一洋専務執行役員は「自動車関連における衝突シミュレーション領域が遅れていた。今後は、例えば保護関連部品において耐衝突性能を高める適正材料の検証など、衝突シミュレーションを材料開発や部品設計ニーズに生かし、提案力向上につなげたい」とする。

日刊自動車新聞3月5日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

JFEスチール㈱

開催地 同社スチール研究所福山地区(広島県福山市)
対象者 自動車業界