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自動車産業インフォメーション

2019年3月2日

経産省が組織、中小サプライヤー生き残りへ 系列の壁越え「応援隊」

経済産業省は2019年度、自動車メーカーのOBら専門家が中小・小規模の部品サプライヤーの技術開発や付加価値創造を支援する活動を後押しする。全国10地域程度の産業振興機関など支援団体が中心となって「サプライヤー応援隊」を組織、研修を受けたOBらが地域のサプライヤーに出向いて指導する。同時に応援隊の全国事務局を設置して情報を交換することにより、地域格差の解消や好事例の横展開なども目指す。これにより、新技術へのサプライヤーの対応力向上や人材の育成を図り、日本の自動車産業のさらなる発展と中小・小規模事業者の経営基盤強化につなげる。

サプライヤー応援隊事業は、ティア3(3次)やティア4(4次)に相当する中小企業や小規模事業者が運転技術の高度化やパワートレーンの電動化などに対応する技術力をつけ、付加価値を高めることを支援するもの。各地の産業振興関連の団体・機関などが地域支援団体となり、自動車メーカーやティア1サプライヤーなどから応援隊予備軍を選出、研修を実施して応援隊を結成する。

応援隊が地域のサプライヤーに派遣されて指導を実施する一方、サプライヤーからの相談も地域支援団体で受け付ける。国は事業に必要な経費の半額を補助する計画で、経産省は19年度予算から1億~2億円を拠出する。現在、地域支援団体を公募中で、栃木や群馬、埼玉、神奈川、静岡、愛知、岡山、山口、福岡など、完成車工場が立地する地域の団体や機関の応募が想定される。

自動車メーカーでは従来から、個別のビジネス拡大やコスト削減、技術開発などを狙いに取引先サプライヤーに専門家を派遣するケースは多かった。これに対し、サプライヤー応援隊は系列の壁を越えて、地域のサプライヤーの生き残りをかけた挑戦に貢献することを目指したものとなる。

政府は18年6月、「骨太の方針2018(経済財政運営と改革の基本方針)」と「未来投資戦略2018」を閣議決定した。その中では「自動車の電動化等の新たな成長分野への進出に関する支援を行う」(骨太の方針)、「新領域進出を支援する専門家派遣を本格化」(未来投資戦略)などの文言が盛り込まれた。また、経産省は同年8月、自動車・同部品メーカーの首脳らで構成する「自動車新時代戦略会議」における議論の中間整理として、サプライチェーンの基盤を強化するため、「サプライヤー応援隊(仮称)を立ち上げる」としていた。

日刊自動車新聞2月25日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

経済産業省

対象者 自動車業界