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2019年2月27日

モータースポーツ振興、官民に動き 東京でフォーミュラE、大阪はF1

モータースポーツ振興に向けた官民の動きが活発になっている。東京都の小池百合子知事は1月、電動フォーミュラレースの誘致を調査すると発表。今月に入り大阪市の吉村洋文市長がF1(フォーミュラワン)誘致構想を表明した。民間では3月にトヨタ自動車とホンダがイベント開催で初のタッグを組む。官民がモータースポーツに熱視線を送るのは地域経済の発展や業界の活性化につながるからだ。少子高齢化や人口減少といった社会構造の変化が進み、自動車産業が100年に1度の変革期に直面する中、モータースポーツの持つ価値に改めて注目が集まる。

◆地域経済発展や業界の活性化に
東京都は2019年度の予算案に、フォーミュラEの誘致に向けた調査費用として1千万円を計上した。都は自動車から排出される二酸化炭素(CO2)の排出量削減を目的に、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の普及を推進しており、小池都知事はフォーミュラEを開催することで「都民の意識が変わることを期待したい」と語った。
反響は大きかった。ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル(ニスモ)のブランドアンバサダーを務める柿元邦彦さんは「ツイッターに書き込んだらリツイートとコメント数が通常の数倍になった」と驚く。かつて、皇居周辺で公道レースを開催しようと動いていた柿元さんだけに、小池都知事の決断には大きな期待を寄せている。
西日本では、大阪市の吉村洋文市長が12日、F1誘致に言及した。25年に行われる大阪・関西万博の会場、夢洲の跡地利用について、自身のツイッターで「F1大阪グランプリ、公道レース、夢物語だとは思わない。モナコ、シンガポールができるなら大阪もできる」と強調した。実現にはハードルがあるとも認識しているが「夢洲は人が住まない非日常の人工島。公道の形状、配置もこれから本格設計。やろうじゃないか」とつぶやいた。
大阪はF1を公道で走らせた実績がある。橋下徹氏が大阪市長を務めていた15年11月御堂筋を歩行者天国にする「御堂筋オータムパーティー2015(御堂筋ワンダーストリート)」でフェラーリのF1マシンのデモ走行を行ったのだ。昨年は10月に吹田市の万博記念公園で行われた「大阪文化芸術フェス」でもF1マシンを走らせている。

◆自動車メーカーもタッグを組む
自動車メーカーもモータースポーツのテコ入れに動き出した。トヨタとホンダ、モビリティランドの3社は3月2、3日の2日間、鈴鹿サーキットで初の共催イベント「モースポフェス2019SUZUKA」を開く。
F1や世界耐久選手権(WEC)、世界ラリー選手権(WRC)、インディカー、モトGPなど、両社が世界選手権で戦う車両を走らせるほか、国内最高峰のGTレース「スーパーGT」のデモレースではトヨタ、ホンダ、日産が勇姿を披露する予定だ。
こうしたイベントは各社が独自で主催するのが一般的だった。ホンダの山本雅史モータースポーツ部長は「メーカーの垣根を越えてモータースポーツの魅力を伝える」と意気込む。

自動車業界としては、コネクテッド技術やシェアリングサービスの台頭で「クルマは単なる移動手段」と割り切る消費者が増えていくことが心配だ。メーカー同士や自治体などとの連携を含め、クルマが持つ本質的な楽しさや魅力を伝えることで、地域経済の活性化やクルマファン作りにつなげたいところだ。

日刊自動車新聞2月23日掲載

 

 

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

東京都

開催地 東京
対象者 自動車業界