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2019年2月7日

NTTドコモ「AI運行バス」実証実験、3年内に商用化

■移動最適化とサービス連携、日本版MaaS実現へ
NTTドコモは、これまで神戸市内や横浜市みなとみらい地区などで実証実験を行ってきた「AI運行バス」に地域のリアルタイム情報を連携することで、MaaS(サービスとしてのモビリティ)事業を加速させ、今後3年以内の商用化を目指す。来年度は実現に向けて本格的な取り組みを行う予定だ。

AI運行バスは、ルートを固定せず人工知能(AI)がリアルタイムにルートを最適化して走行する配車サービス。直径5キロメートル程度の運行区域内を縦横無尽に走る小型車両で、アプリを使って簡単に配車の手配ができる。同社では現在、この配車サービスアプリに地域の観光スポットや飲食店、スーパーマーケットのリアルタイム情報を加え、利用者の次の行動をサポートするサービスを開発している。同サービスでは、利用者がAI運行バスで観光スポットに向かう際などに、そのスポットの混雑予測を提示し、混雑している場合には他の近隣の観光スポットをAIが提案するといったことが可能。現在開発中のアプリ画面では他にも、飲食店の予約やスーパーの特売情報の表示を一括で行うことができる。

こういったシステムの構築では、函館大学発のベンチャー企業で配車システムの開発に取り組んでいる未来シェアのAI技術やドコモのリアルタイム移動需要予測技術「近未来人数予測」との連携を利用している。ドコモが提供している近未来人数予測は、ドコモの携帯電話ネットワークを活用し、個人のプライバシーを保護しながらも、性別や年齢層などの属性も含めた一定エリアごとの現在と数時間先の人口データを把握するというもの。これによって得たデータとバスの運行データや周辺施設データなどをもとにAIが未来の移動需要をリアルタイムに予測することで、配車と走行ルートのさらなる最適化を進めている。近未来人数予測は、AI運行バスの提携店舗や施設側の情報とも連携できるため、店舗側はクーポンなどの情報発信も可能になる。これにより、集客力の向上にもつながるという。

AI運行バスはすでにさまざまな地域で各地域に合った実証実験を行ってきた。2018年10月5日~12月10日まで行った横浜市みなとみらい地区での実証実験では、主に観光客に向けたプラットフォームづくりに取り組んだ。また、19年下期には京急ストアや公共施設などを巡回するお買いもの送迎車の実証実験を、横須賀市内で開始するとしている。

同社は、横須賀リサーチパーク(YPR)で行われた「ヨコスカ×スマートモビリティチャレンジ2019」で、「AI運行バスのMaaSプラットフォームへの進化」と題し、移動の最適化とサービスの連携による日本版MaaS実現へ向けた現在の開発状況を紹介した。担当者は、「観光バスのようにそれぞれにルートが決まってしまっていると、利便性が下がり観光客の満足度が低下してしまう。AI運行バスは利便性だけではなく、地域の活性化としても役立つ」と語った。一方で、「タクシーではなくバスのような大型車両になると、法規制の面で運輸局との解釈の問題が出てくる」と、現時点での課題を挙げた。完全な商用化に向けては、まずはそこをクリアにしなければならないという。

日刊自動車新聞2月4日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

㈱NTTドコモ

対象者 一般,自動車業界
リンクサイト

NTTドコモニュースリリース 2017年3月9日発表

モビリティサービスプラットフォームの共同開発に向けた基本合意書を締結-「AI運行バス」提供に向けた検討を開始-

https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2017/03/09_00.html