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2019年1月29日

CES2019、トヨタ系も先進技術披露

自動運転やMaaS(サービスとしてのモビリティ)を想定した技術提案が相次いだ「CES2019」(1月8~11日開催)。トヨタ自動車系サプライヤーからも、こうした時代を見据えた先進技術が披露された。

◆トヨタ紡織、シートの振動や音で乗員を覚醒
トヨタ紡織は、自動運転社会の到来を見据えた、車室内空間の研究開発を加速している。CES2019に初出展し、乗員の眠気や感情などを推定、シートの振動や音で乗員を覚醒させたり、空間を盛り上げる技術を披露。同社が提供を目指している技術の方向性を示した。
出展したのは、自動運転レベル4(限定地域での完全自動運転)を想定したコックピット「AceS(エーセス)」と、レベル5(完全自動運転)を想定した空間モデル「MOOX(ムークス)」だ。エーセスでは、個人所有の車両で求められる空間技術を提示した。シート内センサーで測定した心拍や、カメラで撮影した乗員の目の動きから音や眠気を推定。音楽や光、振動で乗員を覚醒させるなど、五感を刺激した。
一方のムークスはライドシェア車両で、心拍など生体情報に加えて体の動きから乗員の感情の起伏を推定し、場を盛り上げる。会場ではVR(仮想現実)ゴーグルをかけると、バーチャルユーチューバー(Vチューバー)と観光する中で、客の感情の起伏に応じてシーンが変わったり、より空間や感情を盛り上げるためにシートが振動するというデモンストレーションを行った。
同社が未来の自動運転車に提供したいと考えているのは、ユーザーの状態や感情を誘導する「状態誘導」に貢献する部品やソフトウエアの提供だ。「センサーで乗員が眠いかどうかだけなら他社もできる。我々はそれを覚醒させるなど、乗員の状態を誘導する部分を手掛けたい」(鬼頭修専務理事)。例えば乗員が眠い、疲れている場合には、懐かしい音楽とともにシートを振動させたほうが覚醒状態が長く続くということが研究で分かっているという。
ムークスのような車両では、車内で提供されるサービスに状態誘導が活用できると考える。「車内で提供されるエンターテインメントをより盛り上げることに貢献できるはずだ」(同)。今後も人間のメカニズムに関する研究を加速し、常に車内で身体に触れ続けるシートなど内装部品の可能性を追求していく。

◆アイシングループ、自動運転のオーナーカーとリムジンカー
ある時は「所有」を想定したレベル3の自動運転車、またある時は「使用」を想定した完全自動運転車。アイシングループが出展した「iモビリティ タイプC」は、自動運転とMaaSを見据えて、左右で異なる二つの役割を持たせたコンセプトカーだ。ドアやシートの制御、ドライバーモニタリングシステム(DMS)といった強みの技術を1台の車両に詰め込んだ。
コンセプトカーの左側半分は自動運転レベル3を想定した3列シートの「オーナーカー」。事前にスマートフォンで予約をしておくことで、車両に近づくとスライドドアが開くとともに、2列目シートが前方に自動で移動し、少ない負担で荷物を詰め込める。乗車時に外側に回転するシートは、地図情報や自車位置情報と連動し、コーナーでは横Gに合わせて、シート内のコンプレッサーを作動させて姿勢を安定させる形状に変わる。また、DMSとも連動しており、眠気を検知するとシートを振動させる。
一方、右側の「リムジンカー」は、シェアリングなどで乗員が変わることを想定した機能を搭載した。その一つが感情認識エンジンを活用したシートだ。同エンジンで楽しさや怒りなどの4種類の感情を読み取り、最適なマッサージを施せる。このほか、シートには格納式チャイルドシートを内蔵し、子供のいる家族でも使いやすい設計とした。
アイシングループ情報・電子バーチャルカンパニープレジデント電子商品本部長の植中裕史取締役・専務役員は「自動運転、MaaSの時代になると当社の強みであるドアやシートの制御技術がさらに生かせるようになる」とし、自動運転やMaaSに商機を捉え、次世代製品の開発を加速する考えを示した。

日刊自動車新聞1月25日掲載

開催日 2019年1月11日
開催終了日 2019年1月18日
カテゴリー 展示会・講演会
主催者

CES2019

開催地 米国
対象者 大学・専門学校,一般,自動車業界