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2018年12月10日

日本規格協会、自動車分野の機能安全規格ISO26262改訂動向で説明会

日本規格協会(揖斐敏夫理事長)はこのほど、都内で「自動車分野の機能安全規格ISO26262改訂動向説明会」を開催した。年度内の改訂が見込まれるISO26262の動向について、改訂作業に携わっているトヨタ自動車の川名茂之氏ら専門家5人が解説した。自動車や自動車部品、素材、半導体メーカーの関係者など、約300人が参加した。

ISO26262はIEC61508をベースとした機能安全規格で、2011年11月に発行。自動車の電機/電子システムにおける固有のニーズに準拠するよう策定されている。ISO26262は今年度での改訂が予定されており、新たにトラック・バスや二輪車への適用拡大とともに、半導体分野も加わる。
川名氏は規格改訂の背景について、従来の第1版では「これからの電子システムに対応しきれない」点や「ASIL(自動車用安全度水準)の解釈が不統一」、「過重な説明責任」、「文言が分かりにくい」といった課題があったと説明。第2版では「新規にサイバーセキュリティに関する項目が追加される」ことや「わかりにくい文言の修正や例の追加」、「半導体に関する規定『パート11』の設定」、「自動運転など故障時(FOP)の定義」、「各パートの節に活動の目的が明示」されるといった概要を示した。

また、各国が自動運転の研究を進める中で、改訂の議論に関わっている点や各国の自動運転に関する法規の特徴なども紹介した。
デンソーの東道徹也氏はソフトウエアの変更について、「わかりやすさの向上を目的とした改訂」であり、結果として「趣旨は大きく変わっていない」と解説。従来の第8節、9節で変更があったソフトウエア単体テストについては、「検証手段の自由度が高まった点などは大きなメリット」としている。また、“ソフトウエアの安全指向分析について、ソフトウエア実装レベルの作業ではない”ことなどを明記した19項にわたる「付属書E」が新設されることも紹介した。
一方、ルネサスエレクトロニクスの安増貴志氏は半導体ガイド策定について説明した。主な記載は「半導体の機能安全対応全般に関わる基本的な考え方や特定の半導体へのフォーカス、具体例を示す付属書A~Eの3パート」と解説。「さまざまな種類の半導体で分析を行い、多様化するニーズに対応している」ほか「車載システムの開発に適用できる半導体で初めての本格的な機能安全規格」とした。
また、三菱ふそうトラック・バスの武田信章氏は、トラック・バスへの適用について「各国の意見で3・5トン以上に適用範囲が広がった」とし、「各国でトラック本体と架装品の製作主体が異なるので完成車ベースでなくアイテムベースで考えている」と述べた。また、業界特有の用語、略語や車種別のクラス分けに関するテーブルを追加しているとも解説した。

日刊自動車新聞12月5日掲載

カテゴリー 展示会・講演会
主催者

日本規格協会

開催地 東京都内
対象者 自動車業界